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〔証券情報〕芽生えても、伸び悩む?=えとで見る今年と来年の相場

<2020年12月18日>

2020/12/11 12:53

 2021年は丑(うし)年。丑の文字は、腕や植物の芽が伸び切らない様子を表すとされる。新型コロナウイルスの世界的な流行を経て、新たな生活様式に沿った産業への期待感も出ているが、コロナとの戦いは終わっておらず、米中対立など不安要素もある。丑の文字が示すとおり、株価は簡単には伸び上がれないかもしれない。

 ▽埋もれ、つまずく

 中国の歴史書「漢書」では、十二支の子(ね)は「孳萌(増え、芽生える)」と説明されている。子年の20年は春先から新型コロナに見舞われ、世界的に経済活動が一時停滞したが、「テレワーク」など新たな生活様式を模索する動きが広がり、文字通り「芽生え」の年だった。株式市場では「巣ごもり消費」などをキーワードに、通信販売や遠隔医療、食事の配送サービスなどを手掛ける企業が注目された。

 21年を示す丑の文字について、漢書は「紐芽(ちゅうが)」と表現する。手を曲げた姿勢を表す象形文字から生まれており、「子年に芽生えた植物が、地面の下に埋もれたまま伸び上がれない」という状態を示す。

 十干十二支では、21年は辛丑(かのとうし)となる。「辛」は入れ墨をする針を表すとされ、転じて「からい」「つらい」といった意味になった。相場格言でも丑年は「つまずく」とされており、干支(えと)で占うと、前途は多難なようだ。

 ▽先高感広がるが

 前回の辛丑である1961年。前年末に発足した池田内閣が所得倍増計画を打ち出し、58年から始まった「岩戸景気」はピークを迎える。国民年金制度が確立し、現在の社会保険の骨格が整った年でもあった。

 一方で、61年9月に上陸した第2室戸台風では死者・行方不明者が200人以上となるなど、近畿地方を中心に被害をもたらした。海外では、ベルリンの壁が設けられ、米国がキューバとの国交断絶を宣言するなど、東西対立が顕著になった年でもあった。

 日経平均の年間上昇率は58年が40%、59年が31%、60年が55%と2桁の伸びを続けていたが、61年は6%弱にとどまり、岩戸景気の終わりとともに株価の上昇も一服した。その後は、キューバ危機(62年)、ケネディ米大統領暗殺(63年)、ベトナム戦争勃発(64年)と情勢が悪化し、株価も足踏み状態が続いた。

 今年11月からの株価急騰を受けて、株式市場には先高観が広がっている。ただ新型コロナがワクチン普及により終息しても、次のパンデミックが訪れない保証はない。米中対立が世界を二分する新たな冷戦に発展すると警戒する声も一部で聞かれる。丑年相場も子年と同様、波乱含みとみたほうがよさそうだ。(了)

 

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