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温暖化対策、高まる期待=菅首相「排出量50年ゼロ」

<2020年10月30日>

2020/10/26 17:39

 

参院本会議で所信表明演説をする菅義偉首相=26日午後、国会参院本会議で所信表明演説をする菅義偉首相=26日午後、国会

 菅義偉首相が温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言した。環境などの取り組みを重視するESG投資が世界的に広まる中、国として「脱炭素」に踏み切らなければ、経済成長の足かせとなりかねない。それだけに、環境省幹部は「首相が表明する意義は大きい」と強調。温暖化対策の加速化に期待を寄せる。

 脱炭素をめぐり、経済界では動きが急速に進む。経団連は二酸化炭素(CO 2)排出実質ゼロを目指す「チャレンジ・ゼロ」構想を提唱。銀行も石炭火力発電所向けの融資残高をゼロにする目標を掲げる。

 首相表明を機に、こうした動きに弾みがつくとの期待が高まっている。積水ハウス<1928>やイオン<8267>、富士通<6702>など150社以上が参加する企業団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」は、「政府の目標を心より歓迎する」との声明を発表。「政策の方向性がより明確になれば、企業は迷いなく脱炭素に向けて積極的に投資し、技術革新に挑戦する」と表明した。

 ただ、政策の具体化はこれからだ。特に高コストになりがちな温暖化対策と経済をどう両立させるかとの視点は欠かせない。環境法などが専門の高村ゆかり東京大教授は「洋上風力発電のように、発電コストを下げられる再生可能エネルギーを普及させ、それに合わせて送電線を整備することが重要だ」と話す。

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を踏まえると、早期の取り組みが必要との声もある。環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子理事は「50年ゼロだけではなく、30年に半減させる必要がある」と指摘。再生エネの導入拡大や石炭火力発電の廃止など、技術革新を待たずに着手できる対策の積極的な実施を求めている。(了)

 

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