コロナ、対面営業にも試練=株暴落で問い合わせ急増

<2020年3月19日>

2020/03/13 14:38

 

 新型コロナウイルスによる感染拡大で、証券大手などの対面営業の第一線も対応に迫られている。世界的な株価暴落で顧客からの問い合わせが急増しているが、支店でのセミナーは中止され、積極的な面談もしにくい状況。電話やメール、ネット画面などでコミュニケーションを密にし、サービスを途切れさせないよう腐心している。

 野村証券のリテール部門の現場では、新型コロナの感染予防に細心の注意を払い、顧客との直接の接点をできるだけ控えるようにしている。大和証券やSMBC日興証券も顧客が求める場合に限り面談。みずほ証券も趣旨や緊急性に応じて対応しており、各社は電話やメールといった代替手段で要望に応えようとしている。

 ただ、日米の株価は連日乱高下し、13日にかけては歴史的な下落幅を記録。SMBC日興証券のコンタクトセンターには昨年平均比3割増の電話が殺到。各社には「いつが買い時か」「今後の見通しはどうか」などの問い合わせが多く、「こうしたときこそ連絡を絶やさぬようにしないと、顧客が離れていく」(国内証券)との懸念は強い。

 きめ細かな助言を武器に急成長するIFA(独立系金融アドバイザー)事業会社GAIAは2月末以降、セミナーや面談を原則オンラインに切り替えている。顧客は50~70代が中心。ネット画面の対応で難易度が高いのは、新規顧客とのやりとりだという。同社のプライベート・ファイナンシャルプランナー(PFP)川越一輝氏は「画面では顧客の気持ちや雰囲気を察したり、どういう人生を送りたいかなどの思いを理解したりするのが簡単ではない」と明かす。

 資産運用目的で長期投資をしている顧客は、株急落を比較的冷静に受け止めている人が多いようだが、投資の初心者や運用し過ぎていた人、運用方法に十分に納得していなかった人らには動揺も見られる。広報担当の永井梓氏は「細かいフォローが必要。現在の状況を乗り越えて成功体験につなげられるか、アドバイザーと顧客の関係が試される」と話した。

 感染の終息が見通せない中、金融機関の事情に詳しい日本資産運用基盤の大原啓一氏は、対面証券も非対面営業を可能にするシステム面の整備が必要と指摘。「顧客離れを食い止めるには、顧客の資産形成・運用に寄り添うとともに、ハード面を整えるかどうかで差が出てくる」と語った。

 ◇分散オフィス対応も

 新型コロナ感染拡大を受けた危機管理対応では、各社はオフィスの分散や時差出勤、テレワークの積極活用などで業務継続へのリスクを回避しようとしている。

 SMBC日興証券は2月下旬以降、都内の本社とは別のバックアップオフィスや研修所を活用しており、対象は本社の全90部署、約780人に上る。大和証もオフィスを分散するほか、2日にはテレワーク制度を国内の全社員に拡大すると発表。新型コロナ対応での利用者は既に2200人に上っている。

 日本国内に拠点が少ない外資系証券では、1995年の阪神大震災や2001年の米同時テロなどの発生後、本拠点とは別にバックオフィスを設ける社が少なくない。

 UBS証券やドイツ証券は現在、本拠点とバックオフィス、在宅の3系統で稼働している。フィデリティ証券はコールセンターの拠点も従来の二つから四つに拡大。自宅での電話対応も可能にし、通常業務を継続している。

 新型コロナ感染拡大の長期化が現実味を増す中、各社の試行錯誤は当面続きそうだ。(了)