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GDP、消費増税対策でも大幅減=ポイント還元、効果限定的
<2020年2月21日>
内閣府が17日発表した2019年10~12月期国内総生産(GDP)は、個人消費などの主要項目が軒並み減速し、前期比1.6%減と大幅なマイナスに落ち込んだ。政府は、19年10月の消費税率引き上げに合わせ、キャッシュレス決済でのポイント還元制度をはじめとする大規模な景気対策を実施したが、台風や暖冬も打撃となり、十分に効果を発揮できなかった。
消費税率を5%から8%に引き上げた際の14年4~6月期GDPは、1.9%減と失速。政府は当時の反省を踏まえ、10%への税率引き上げでは食品などへの軽減税率や幼児教育無償化を導入したほか、ポイント還元や住宅ローン減税拡充など2兆円規模の景気対策を打ち出した。
この結果、14年4~6月期では個人消費が4.8%減、住宅投資は9.1%減だったのに対し、19年10~12月期はそれぞれ2.9%減、2.7%減と落ち込み幅が縮小。前回増税時に5.3%減だった公共投資は、防災事業などを積み増し1.1%増とプラス基調を維持した。政府内には「需要の平準化に一定程度は成功した」(内閣府幹部)との見方がある。
ただ、政府が18年末に対策をまとめた際に掲げた「経済への影響を十二分に乗り越える」との目標を達成できたかは疑問が残る。久留米大の塚崎公義教授は「消費税増税の悪影響は景気対策では打ち消せない」と指摘した上で、財政健全化には消費税増税以外の方策も探るべきだと強調する。
◇消費増税時の主なGDP項目
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実質GDP ▲ 1.9 ▲ 1.6
個人消費 ▲ 4.8 ▲ 2.9
住宅投資 ▲ 9.1 ▲ 2.7
設備投資 ▲ 1.9 ▲ 3.7
公共投資 ▲ 5.3 1.1
(注)数字は%。前回は2014年4~6月期、今回は19年10~12月期。いずれも季節調整済み前期比の実質値(了)