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顧客の運用成績向上が使命=カブコム証・斎藤社長―ネット証券20年

<2019年11月15日>

2019/10/30 14:40

インタビューに応じるカブドットコム証券の斎藤正勝社長=東京都千代田区インタビューに応じるカブドットコム証券の斎藤正勝社長=東京都千代田区

 

 インターネット証券20年のトップインタビュー5人目は、カブドットコム証券の斎藤正勝社長。2000年代の投資ブームなどに乗って成長してきた道のりを振り返る一方、「株の売買手数料の引き下げ競争に傾倒しすぎたことが反省点だ」と話す。「顧客に運用成績を高めてもらうことが当社の使命だ」と強調し、人工知能(AI)技術を駆使した取引支援サービスの提供を2020年にも始める考えを示した。ローソンなどで使える共通ポイント「Ponta(ポンタ)」を取引に使えるようにすることも検討し、顧客の裾野の一段の拡大を狙うとした。主なやりとりは以下の通り。

 -ネット証券の台頭とともに存在感を高めてきた。

 当社は自前でシステムを開発・運営したこともあり、サービスの開始が株の取引手数料完全自由化の1999年10月に間に合わず、2000年にずれ込んだ。これまで取引が盛況となった大きなヤマは2回あり、流れに乗ることができた。

 一度目が小泉純一郎政権期(01~06年)で、東証の取引注文がインフラ能力を上回り、パンクしてしまうこともあった。二度目は第二次安倍晋三政権発足(12年末)後の株価浮揚期だ。

 -注力した事業は。

 個人投資家が機関投資家などプロと運用成績を競えるようサポートすることを目指し、先端的な取引ツールの提供に努めた。ただ、ここ最近は機械による超高速取引が浸透し、機関投資家と個人の格差が再び広がっている。

 -投資家の裾野は広げられたか。

 当社が05年の上場後、最初にやったのが三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社になることだった。銀行から送客してもらえば顧客数が増えるとの期待があり、銀行のサイトから簡単な画面操作で証券口座を開き、取引を始められるようにした。しかし「敷居が高い」「成功体験がない」「必要性を感じない」と感じる人が多く、裾野は十分広がっていない。

 -今後の課題は。

 手数料の引き下げ競争に傾倒しすぎたことがネット証券としての反省点だ。顧客の本質的なニーズは、取引コストと税をさし引いて得られる利回りだと思う。運用でパフォーマンスが出なければ、たとえ手数料がゼロでも、顧客にはメリットがない。

 顧客に運用成績を高めてもらうことが当社の使命だ。人工知能(AI)を駆使し、個人でもボラティリティー(変動率)や流動性を見て売買銘柄を選べるようなサービスを数年かけて開発してきた。20年にも提供を開始する。当社が受け取るフィー(手数料)は「顧客がもうかった金額の2割」といった成功報酬型にしたい。

 ネット上で顧客同士が交流し、投資上級者が運用のコツを分かりやすく伝えるサービスも始めたい。投資で迷った顧客が「対面の大手証券会社に聞いてみよう」ではなく、「詳しい別のお客に聞いてみよう」という気持ちで利用できるようにする。

 -顧客基盤の拡大策は。

 当社は今年12月に「auカブコム証券」と改称する。大株主となったKDDIにスマホの取引アプリ拡充といった技術面などで協力を得て、若年層の掘り起こしに努める。コンビニエンスストアの買い物などで付与される共通ポイント「ポンタ」を取引に使える仕組みも検討し、投資の未経験者を取り込んでいきたい。(了)

 

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