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ラグビーW杯、44日間の熱狂=予想以上の盛り上がり
<2019年11月8日>
2019/11/04 15:57
44日間にわたり日本で開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)が幕を閉じた。日本戦だけでなく、ほぼ全試合が満員。国内で人気競技とは言えなかったラグビーに一躍注目が集まり、日本中が熱狂した。
◇予想以上の盛り上がり
ラグビーの伝統国以外では初めてのW杯。開催が決定した10年前から、盛り上がりを不安視する見方もあった。ただ、前回大会で日本が優勝候補の南アフリカから大金星を挙げ、五郎丸というスターも生まれた。当時のラグビー人気は短期間で下火になったとはいえ、日本代表の強化と自国開催のW杯に期待する声は増えていった。
開幕当初から十分に注目を集めたが、日本が1次リーグ2戦目で優勝候補のアイルランドを倒して雰囲気はがらっと変わった。日本代表チームへの関心が急激にアップ。
リーチ主将(東芝)を中心に日本、ニュージーランド、トンガなどさまざまなルーツを持つ選手が集まり、一つの目標に向かって戦う姿勢は広く共感を呼んだ。前回大会で敗れたスコットランドに雪辱し、1次リーグ4戦全勝で史上初の8強入りを達成すると、盛り上がりは最高潮に達した。
◇日本らしい大会に
各開催都市やキャンプ地は工夫を凝らして参加チームをもてなした。ウェールズの事前キャンプ地の北九州市は約1万5000人がスタジアムに集まり、練習を見ながら国歌斉唱の際に歌われる歌を大合唱。この歓迎ぶりは海外でも話題になった。各チームの選手が試合終了後にスタンドに向かって「お辞儀」をすることが定番化。実に日本らしい大会になった。
台風19号の影響で3試合が中止となったのは残念だったが、中止の可能性もあった日本-スコットランド戦は関係者の徹夜の努力が実り、無事に開催された。日本が勝って8強入りを決めた大一番だっただけに、熱気に水は差されなかった。
◇ラグビーの魅力広まる
日本戦の視聴率(関東地区、ビデオリサーチによる)は準々決勝の南ア戦が最高で平均41.6%。スコットランド戦は39.2%。決勝トーナメントでは外国同士の試合も19%を超えることもあった。
激しくぶつかり合う格闘技的な迫力。試合が終われば、敵味方なく健闘をたたえ合う文化。ラグビーという競技そのものの魅力が、W杯を通じてラグビーに関心がなかった国内の層にも広まったようにも見える。日本ラグビー協会はこの機会を最大限に利用し、4年前のようなブームだけに終わらせず、人気定着へ努力する必要がある。
日本大会の成功は、国際統括団体ワールドラグビー(WR)も歓迎している。WRのボーモント会長は「過去最高の偉大な大会になった。これで今後の道筋が見えてきた。北米などでもW杯を開催すべきだ」。ラグビーの世界的普及に向け、今大会は大きなステップとなった。(了)