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日銀リポート、地銀の信用コスト増に警鐘=大手行は海外投資リスク

<2019年11月1日>

 

2019/10/24 18:55

 

◎日銀リポート、地銀の信用コスト増に警鐘=大手行は海外投資リスク

 日銀は24日、金融システムの安定性を半年ごとに評価するリポートを公表した。融資審査の甘さなどを背景に、地方銀行を中心に貸し倒れに備えた引当金など信用コストが増加に転じたと警告。大手行には、海外投資リスクへの注意を喚起した。日銀は「(金融システムの)脆弱(ぜいじゃく)性の蓄積には引き続き留意が必要だ」と指摘し、前回の判断から警戒レベルを一段引き上げた。

 地銀などでは、貸出残高に対する信用コストの割合を示す「信用コスト率」が低水準ながらも2018年度に増加に転じた。各行は低金利の長期化や人口減少に直面する中、収益強化のため融資を増加させているが、一部で審査や管理が甘くなっていた。長期的に取引がある企業の経営再建や事業承継が難航していることも要因となった。

 日銀は、景気が拡大しているにもかかわらず、既に信用コストが増え始めたことに懸念を表明。「景気後退リスクが高まった場合の影響について、これまで以上に認識する必要がある」(金融システム調査課)と警鐘を鳴らした。

 一方、大手行については、海外への投融資を拡大しており、海外発の金融危機の影響を受けやすくなっていると指摘。特に、信用格付けが低い企業への貸出債権を束ねたローン担保証券(CLO)が欧米よりも大幅に伸びており、リーマン・ショック級の経済危機が発生した場合、価格が2~3割下落する恐れがあるとの試算を示し、リスク管理の徹底を促した。(了)

 

 

2019/06/21 16:30

 

◎米ボストン連銀総裁:日本の銀行の高リスク投資警告=「バブル崩壊後の脅威再び」

 【ワシントン時事】米ボストン連邦準備銀行のローゼングレン総裁は21日、日本の銀行が経済低迷による収益減に直面し、それを補うために高リスク投資を拡大していると警告した。「日本の金融システムは再び(バブル崩壊後のような)リスクにさらされている」と注意を促した。

 ローゼングレン総裁は1990年代に日本が経験したバブル崩壊後の金融危機について、訪問先のドイツで講演した。海外展開していた邦銀がバブル崩壊で現地融資の引き揚げや縮小を進めたことで、世界経済にも大きな打撃を及ぼしたと指摘した。

 総裁は、金融システム全体に与える影響を点検する「マクロプルーデンス」体制が整っていれば「多くの問題が大きく軽減されていただろう」と主張。2008年のリーマン・ショック後に米国が導入した大手銀行に対するストレステスト(健全性審査)などの重要性を訴えた。

 バブル崩壊から20年以上たった日本経済について「国内銀行に深刻な課題を提起している」と強調した。少子高齢化に伴う低成長で銀行融資が伸びず、長引く低金利で収益確保が厳しくなっていることを理由に挙げた。

 収益の落ち込みを補うため、信用力の低い企業向け貸出債権を束ねたローン担保証券(CLO)投資を増やしていることに触れ、「今後世界的な景気後退が起きた際に、日本の銀行が強靱(きょうじん)であり続けられるか重要な問題を投げ掛けている」と警鐘を鳴らした。(了)

 

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