マーケットニュース

総合取引所でこう変わる

<2019年10月4日>

2019/08/22 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる①〕JPX、コモディティ市場新設=商品移管は来年7月

 東京商品取引所(TOCOM)は、日本取引所グループ(JPX)傘下の大阪取引所(OSE)に金先物などを移管する。JPXは「コモディティ市場」を新設し、2020年7月に取引を開始する予定。証券・金融・コモディティの横断的な取り扱いが実現し、単一のプラットフォーム(J―GATE)を利用したワンストップ取引が可能となる。

 移管商品は、金と白金(ともに標準、ミニ、限日)、銀、パラジウム、ゴム(RSS、TSR)、一般大豆、小豆、トウモロコシ、金先物オプション。いずれも金融商品取引法に基づき、金融庁が監督する。

 TOCOMは電力や中東産(ドバイ)原油、ガソリン、灯油、軽油先物で構成する「エネルギー市場」を運営。引き続き商品先物取引法に基づき、経済産業省の所管となる。不招請勧誘禁止の対象外となっているスマートCX(損失限定取引)は、OSE移管商品には適用されない。

 商品移管は来年7月が目標時期。東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う祝日の移動で、4連休となる23~26日にシステム移行作業・稼働リハーサルを実施。27日を本番稼働日と想定している。移管商品の22日の夜間取引は行わない。(了)


2019/08/23 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる②〕スペックは継続=金にSCB導入、ゴムの立会時間変更

 OSEへの移管商品は原則、TOCOMのスペックが継続採用される。現在のスペックは2016年のJ―GATE共同利用開始に向け、市場参加者との調整を踏まえて決定した経緯がある。
ただ、特に価格変動の大きい貴金属市場は、制限値幅を見直すと同時に、新たにサーキット・ブレーカー制度(SCB=相場が過熱した場合、取引を一時中断し投資家の過熱感を鎮め、冷静な判断の機会を設けるための措置)を導入する。

 具体的には、金と白金が400円→600円→800円、銀が10円→20円→30円、パラジウムが300円→450円→600円の制限値幅となり、いずれも拡大する時にSCBが発動される。

 ゴム(RSSとTSR)は、取引開始時刻を午前9時に変更する。他の商品はこれまで通り8時45分スタートとなるため、注意が必要だ。

 ギブアップ・テイクアップ申告期限はOSEの制度を適用。ノンキャンセル・ピリオドの対象時間は午前8時44~45分、午後4時29~30分、午前5時29~30分(ゴム市場を除く)。立ち会い外取引の取引時間は午前8時20分~午後4時、午後4時15分~翌午前5時30分(ゴム市場は午後7時)。(了)


2019/08/26 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる③〕OSEに取引資格新設=加入金不要、信認金は300万


2019/08/27 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる④〕JSCCに清算一元化=破綻時の建玉移管はOSE方式


2019/08/28 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる⑤〕証拠金はプール計算可能に=市場分断を回避


2019/08/29 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる⑥〕日証協への加入必要=商品先物3団体は存続


2019/08/30 11:00

◎〔総合取引所でこう変わる⑦完〕HPの相場配信、20分ディレイ=4本値に注意

 OSE移管商品については、J―GATEのパーティションが変更(5→3)され、銘柄を特定するコードが現行と異なるほか、相場情報の配信形態も変更される。OSEからの相場情報提供は、現在のTOCOM発信と違い、例えばホームページ上で掲載している相場表は5分ディレイ(遅延)から20分ディレイに変更する必要がある。

 一方、OSEの4本値は、ストラテジー建値を含んでおり、現行のTOCOMとは異なるので注意が必要だ。カテゴリ別取引高・取組高はOSEの「投資部門別取引状況」(週次)となり、全取引を対象とする報告が必要。ただ、当面は従来のTOCOM型方式(現行フォーマット、日次報告)も選択可能だ。TOCOM型で報告すればJPXが集計して公表する。既存のOSE上場商品は、取引参加者別建玉残高一覧(週次)を公表しているが、移管商品は対象外になる。

◇総合取引所、商先業者に最大限配慮

 総合取引所の実現に伴う制度変更などは、これまで指摘してきたように、全体的に既存の商品先物業者に配慮した形に映る。商品移管に伴う経営環境の変化が、商先業者の過度な負担にならないようTOCOMやJPX、経済産業省、金融庁が協議を進めた結果と言える。

TOCOMは当初、貴金属市場のJPX移管を強硬に反対していた。主力の金先物などが移管されると、商先業者の経営を左右しかねないとの危機感からだ。しかし、経産省が総合取引所の実現には貴金属市場の移管が不可欠と説得。TOCOMは移管を受け入れる代わりに、商先業者がJPXでも継続して取引ができるよう最大限配慮してほしいと主張した。これを経産省が金融庁に伝え、制度整備の「根幹」が固まった。 特に「証拠金のプール計算」の実現は、所管省庁が異なるにもかかわらず、横断的に制度が整備された極めて異例なケースだ。こうした総合取引所実現に向けた関係者の努力・尽力は、日本の商品先物市場が欧米並みに活性化してこそ初めて報われることになる。(了)

 

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