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「予防」連鎖に危うさ=緩和競争に拍車―ECB利下げ

<2019年9月27日>

2019/09/13 14:44

 

利下げ決定後に記者会見する欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁(ドイツ・フランクフルトのECB本部)/EPA=時事
利下げ決定後に記者会見する欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁(ドイツ・フランクフルトのECB本部)/EPA時事

 【フランクフルト時事】ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)が12日、3年半ぶりの利下げを決めた。米連邦準備制度理事会(FRB)に続き、ECBが利下げに踏み切ることで、世界的な緩和競争に拍車が掛かるのは必至。ただ金融政策に頼った景気下支えの限界はECBも認めており、「予防」的な利下げの連鎖には危うさが漂う。

 ◇景気を下支え

 「ユーロ圏経済の長期的な減速は予想以上だ」。ドラギ総裁は、利下げ決定後の記者会見で景気減速への危機感をあらわにした。ECBは2019年と20年のユーロ圏成長率見通しも小幅に下方修正。利下げと量的緩和の再開を決めた大きな要因となった。

 米中貿易摩擦の長期化により、景気減速の波は世界を覆いつつある。各国中銀は利下げを通じた景気下支えに動いており、8月に利下げを決めたフィリピン中銀のジョクノ総裁は「予防的措置として追加利下げの余地がある」と述べ、景気への配慮をにじませる。

 このほか7月以降、オーストラリア、インドネシア、韓国、ロシア、インドなど各国中銀が雪崩を打つように利下げに踏み切った。貿易摩擦の当事国である中国も、今月6日に人民銀行(中銀)が預金準備率の引き下げという形で金融緩和に動いた。

 ◇トランプ氏の圧力

 真っ先に「予防的利下げ」を打ち出したのは、FRBだ。リーマン・ショック後の08年12月以来、約10年半ぶりとなる利下げを7月末に決定。景気が著しく悪化したわけではなく、FRB内にも「利下げ不要」との意見も一部ある中、悪化の前に先手を打つとの理屈だ。

 ただ、トランプ米大統領による執拗(しつよう)な利下げ要求圧力の影響も皆無だったとは言えない。トランプ氏は「FRBは利下げをするべきだ」などと繰り返し要求。トランプ氏はECBの12日の利下げ発表後も、「ECBは素早く行動した。強いドルに対してユーロ安を狙って成功し、米国の輸出を痛めつけている」と言い放ち、利下げの目的がドル安誘導にあることも隠さない。

 ◇金融政策の限界

 金融市場は、各国中銀の利下げを好感。ECB利下げ決定後の12日のニューヨーク株式相場は、7連騰を演じた。しかし、既に低金利の環境下で政策余地を狭める利下げが相次ぐことには、市場にも警戒感がある。特に通貨安誘導を狙うような政治圧力を背景にした利下げには、「中銀の独立性が脅かされる」と違和感が強い。

 マイナス金利を深掘りする異例の決断を下したECBは、銀行の収益を圧迫するなどの副作用が強まるジレンマも抱えることになる。ドラギ総裁は「財政政策が主たる手段となるべきだ」と金融政策による景気下支えの限界を指摘し、金融緩和に頼る政治家の姿勢を暗に批判した。

 ◇最近の各国中央銀行の利下げの動き

7月 オーストラリア     0.25%利下げ、1.00%に
   韓国          0.25%利下げ、1.50%に
   トルコ         4.25%利下げ、19.75%に
   米国          0.25%利下げ、2.00~2.25%に
8月 インド         0.35%利下げ、5.40%に
   フィリピン       0.25%利下げ、4.25%に
9月 ユーロ圏(ECB)   0.1%利下げ、マイナス0.5%に
   トルコ         3.25%利下げ、16.5%に
(了)

 

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