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新1万円札と兜町再開発

<2019年8月16日>

新1万円札と兜町再開発

 先日、久しぶりに兜町界隈を歩いてみました。この街に店舗を構える証券会社の数はかなり減り、老舗の鰻屋さんも閉店。かつての賑わいは失われていますが、地区の一角、茅場町交差点付近では新しいビルの建設工事が行われていました。ここはかつて、昭和の大物相場師・山崎種次が創業した山種証券があった場所。兜町でも再開発が始まっています。

 小池百合子東京都知事が誕生して間もなくの頃は「国際金融都市」という言葉をよく耳にした記憶があります。最近はあまり聞かなくなったと思い、時事通信のニュース端末で検索してみました。2017年11月に都が「国際金融都市・東京」構想を発表して以降、しばらくは目立った記事がなかったものの、最近になって新たな動きが。こんな記事がヒットしました。

採録記事

東京国際金融機構、仏金融団体と覚書調印=市場発展で相互協力

 東京都と民間金融機関などが連携し、都を世界トップクラスの国際金 融市場として発展させることを目指す組織「東京国際金融機構」(会 長・中曽宏 …

 東京国際金融機構??これは都の国際金融都市構想を推進するため、今年4月に発足した官民連携の組織で、海外金融機関の誘致などに取り組むそうです。冒頭で紹介した建設中のビルも都の構想を後押しする狙いで、完成は来年春の予定。資産運用会社やフィンテック企業を集め、投資家と企業を結ぶ交流拠点なども設置する計画です。このビル以外にも再開発プロジェクトが動いています。

 大手町、丸の内、日本橋に比べると、兜町の存在感は薄れている印象があります。しかし、日本史の観点から見ると、この街は「金融証券発祥の地」で、元々は金融の中心地でした。現在のみずほ銀行兜町支店は、明治6年に設立された日本初の銀行「第一国立銀行」が起源で、東京証券取引所も明治11年開設の「東京株式取引所」がルーツ。いずれも日本の資本主義の父と言われる渋沢栄一主導でプロジェクトが進みました。ちなみに渋沢の私邸も取引所の向かいにあったそうです。

 2024年には渋沢の肖像がデザインされた新1万円札が登場します。渋沢が再び注目を集めるタイミングでの兜町再開発には何かの縁を感じます。5年後、新紙幣の効果も重なり、兜町には活気が溢れているかもしれません。