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失われた20年、「氷河」に思い至らず
<2019年8月23日>
失われた20年、「氷河」に思い至らず
政府は「就職氷河期世代」の就労支援を重要課題と位置づけ、「骨太の方針」に盛り込みました。7月末には省庁横断の推進組織が発足し、本腰を入れてこの問題に取り組む考えです。現在30~40歳代の約100万人を支援対象者と想定し、今後3年間で30万人の正社員増加を目標に掲げました。
「バブル世代」と呼ばれる筆者が、就職環境について語るのはおこがましい限りですが、氷河期が生まれる背景となった「失われた20年」を経済記者として目の当たりにしてきました。記者生活の大半の期間がその20年と重なるのです。
銀行や証券会社、ゼネコン、流通大手など多くの大企業が経営破綻し、産業界では大型合併や工場・店舗の大規模な閉鎖が相次ぎました。希望退職募集や長年続けたスポーツ活動の停止などコスト削減一色の状態で、新規採用も大幅に縮小。メディアは、各社の「リストラ策」をめぐり激しい取材合戦を繰り広げていました。
当時も、新規採用の大幅削減は将来問題になるとの問題意識はありました。しかし、各企業の人事構成がいびつになるといった指摘が多く、筆者自身も氷河期世代の問題がこのような形で深刻化することには思いが至らなかったのが実情です。今回の政府の対策について、「遅過ぎる」「ポイントがズレている」との批判もありますが、対策を打たないという選択肢はあり得ません。
具体策も見えてきました。時事通信が8月14日に他社に先駆けて配信した記事*クリックで記事が読めます*によると、政府は建設や運輸、ITなどの分野で資格取得から就労までを一体的に支援する事業を行う計画です。別の独自記事では、無業状態にある人の就労を支援する「地域若者サポートステーション」について、現在40未満としている対象年齢を「40~50歳」に引き上げる方針を固めたとのこと。こうした施策が効果を発揮することを願うと同時に、一連の事業が「人手不足対策」の視点に偏り過ぎないよう
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