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独自:日銀、長期金利目標の柔軟化検討=一定程度の上昇容認
<2018年7月20日>
記者会見する日本銀行の黒田東彦総裁(奥右端)=2018年7月31日、東京・日本橋本石町の日銀本店
日銀が、大規模な金融緩和策で「0%程度」としている長期金利の誘導目標の柔軟化を検討することが20日、分かった。一定程度の金利上昇を容認する。物価の伸び悩みで日銀が掲げる2%の物価上昇目標の実現が展望できない中、現在の緩和策は一段と長期化する見通し。金融機関の収益悪化や国債取引の低迷など副作用を軽減しつつ、緩和長期化に備えるのが狙いだ。
7月末に開催する金融政策決定会合で検討する。ただ日銀内には長期金利目標の引き上げに慎重な声もある。会合では具体策をめぐり突っ込んだ議論となりそうだ。
2016年9月、日銀は大量に国債を買い入れる量的緩和に加え、短期金利だけでなく長期金利も低水準に誘導する長短金利操作と呼ばれる新たな緩和枠組みに移行した。実際には長期金利が0~0.1%で推移するように市場調節を行っている。
7月会合では、誘導目標の柔軟化に向けたさまざまな選択肢を議論。①0%程度としている誘導目標自体の引き上げや一定幅を持たせる形への変更②0%程度の目標は維持した上で0.1%としている市場調節の上限引き上げ―などが浮上している。日銀は、こうした柔軟化について、金融緩和を終わらせる「出口戦略」の一環ではないことを強調し、市場に混乱が生じないように努める方針だ。
一方、金融機関が日銀に預け入れる当座預金にマイナス0.1%を課すマイナス金利政策は維持する公算が大きい。
総務省が20日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除き前年同月比0.8%上昇にとどまった。エネルギーも除いた上昇率は0.2%に鈍化した。(了)