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米株価、なぜ連日最高値?=景気浮揚策に期待―ニュースを探るQ&A
<2021年1月15日>
2021/01/09 15:29
米株式市場では、代表的指標のダウ工業株30種平均が、3日連続で史上最高値を更新した。8日の終値は3万1097.97ドルとなり、今年に入ってからの上昇幅は490ドルを超えた。米国では、新型コロナウイルス感染再拡大で、景気や雇用回復が足踏みする中、株高が進展。日本でも、米株高に引っ張られ、日経平均株価が上昇している。
―株価上昇の背景は。
昨年11月の米議会上院選で決着がついていなかった南部ジョージア州の決選投票で、民主党が2議席とも確保。他の選挙結果も合わせると、大統領、上下両院いずれも民主党が主導権を握る構図となった。市場では、バイデン次期大統領が主張する景気浮揚策が実現しやすくなったとの見方が広がり、景気下支えへの期待が膨らんでいる。
―バイデン次期政権の経済政策は。
バイデン氏は、昨年12月に成立した9000億ドル(約93兆円)規模の追加経済対策を「手付金」として、さらに数兆ドル規模の大型の経済対策を打ち出す方針だ。現金給付も1人当たり最大600ドルから2000ドルへの増額を目指している。
―実体経済の状況は。
厳しい状況が続いている。米国では、昨秋から新型コロナ感染が再び急拡大し、レストランの営業制限などが広がっている。雇用回復にも急ブレーキがかかり、昨年12月の非農業部門の就業者数は8カ月ぶりに減少した。今年1~3月期は再びマイナス成長になる可能性も指摘されている。
―株価は上昇が続くのか。
民主党は、上院で多数派になったといっても、議長となる副大統領の1票分を足して過半数となったにすぎない。民主党内には大型財政出動に慎重姿勢の中道派の議員もいるため、「経済対策が縮小したり、成立が遅れたりする可能性がある」(英調査会社)との懸念も根強い。大規模な金融緩和を背景に、株式市場に過熱感があるとの指摘もあり、先行きは見通しにくい。(ニューヨーク時事)