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イベント緩和、専門家も賛否=感染状況の見極めを―「社会成り立たず」・新型コロナ
<2020年7月17日>
東京都内の新型コロナウイルス新規感染者は10日、過去最多の243人に上り、2日連続で200人を超えた。同日にはイベントの開催制限も緩和され、コンサートやプロスポーツなどの参加者・観客数は上限が5000人に拡大された。専門家は緩和について「日々の感染状況を見極めて慎重、柔軟に進めるべきだ」と訴えている。
イベントの人数制限は、緊急事態宣言解除後から徐々に緩和され、8月1日には撤廃される予定だ。国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「緩和のスケジュールは、5~6月のように感染拡大が抑え込まれていることを前提にしている」と指摘。「東京の新規感染者が連日200人を超えるなどの状況は想定していなかった。政府は計画をただ予定通り行うのではなく、状況の変化に応じ慎重、柔軟にするべきだ」と話した。
政府は10日にイベントの制限を緩和した理由について、医療提供体制に余裕があることを挙げた。和田教授は「『余裕があるから大丈夫』と言う人は医療現場には一人もいない。新型コロナの患者が増え続ければ、救急医療体制が逼迫(ひっぱく)する恐れもある」と強調。「感染者を増やさないために、イベントの人数制限を今よりも厳しくする方向性もあるはずだ」と訴えた。
一方、東京医療保健大大学院の菅原えりさ教授(感染制御学)は「都は検査数を増やしたので陽性者が増えたと説明するが、母集団の属性は不明だ。楽観はできないが、感染者数の増減で一喜一憂もできない」と話す。
旅行代金の割引キャンペーンが22日に始まることも決まったが、菅原教授は「外出を自粛した方が安全との気持ちは分かるが、それでは社会が成り立たない。宿泊施設などに行く人と迎える人の双方が厳重な感染予防策を取ることを前提に、活動を徐々に緩和するのが望ましい」と話した。(了)