過去最大の経済対策、問われる政策効果

<2020年4月14日>

2020/04/09 14:06

〔財金レーダー〕過去最大の経済対策、問われる政策効果=現金給付は線引き複雑

緊急経済対策を決定した臨時閣議後に記者会見する麻生太郎財務相=7日、財務省
緊急経済対策を決定した臨時閣議後に記者会見する麻生太郎財務相=7日、財務省



 政府は7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急経済対策と2020年度補正予算案を決定した。対策は財政支出39.5兆円、民間支出などを含めた事業規模108.2兆円で過去最大。収入減の世帯や中堅・中小企業、個人事業主への現金給付が目玉だ。しかし、支給対象世帯の線引きは複雑で、自己申告の手続きなど判然としないことも多い。迅速な対応で規模に見合うだけの政策効果を発揮できるかが問われる。

◇「壊滅的」「倒産も」

 「海外旅行は壊滅的な状況。国内も自粛の影響で集客が伸びていない」(九州の旅行代理店)「宴会の予約はほとんどがキャンセルで、この状況が2~3カ月続けば倒産もあり得る」(北関東の都市型ホテル)。

 内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査では、全国から「悲鳴」とも言える厳しい声が寄せられた。街角の景況感を示す現状判断指数と、2~3カ月先の見通しを示す先行き判断指数は、いずれもリーマン・ショック後の金融危機時や東日本大震災の直後を下回り、過去最悪を記録した。「中国から部品が来ないため、工事完成の見込みが立たない」(甲信越の建設業)などと懸念が強まり、雇用にも不安が広がる。

 外出自粛や訪日外国人客の急減、サプライチェーン(部品供給網)の混乱などにより、消費や生産といった経済活動が滞り、国内景気は急速に落ち込んでいるとみられる。

◇GDPの2割

 政府の緊急経済対策は、国民生活、企業の支援と、経済回復に向けた需要喚起策の2段階で構成。①感染拡大防止策と医療提供体制の整備、治療薬の開発(事業規模2.5兆円)②雇用の維持と事業の継続(80.0兆円)③次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復(8.5兆円)④強靱(きょうじん)な経済構造の構築(15.7兆円)⑤今後への備え(1.5兆円)―の5本柱を盛り込んだ。

 安倍晋三首相は「国内総生産(GDP)の2割に及ぶ世界的に見ても最大級の経済対策」と誇示した。対策の事業規模はリーマン・ショック後の09年4月に策定した経済対策の56.8兆円を大きく上回った。

 ただ、対策には昨年末に策定した総合経済対策の未実施分(19.8兆円)と、2、3月に19年度予算の予備費などを活用して取りまとめた緊急対応策(計2.1兆円)も含まれている。

◇現金給付に6兆円

 20年度一般会計補正予算案の緊急経済対策関連経費は16兆7058億円。収入の減少を条件に1世帯当たり現金30万円を給付し、売り上げが前年同月に比べ半分以上減った中堅・中小企業に最大200万円、フリーランスなど個人事業主に最大100万円を支給する。現金給付は計6.3兆円で、補正全体の4割近くを占める。首相は「強い危機感の下に雇用と生活は断じて守り抜いていく」と強調する。

 対策によると、世帯向け給付金の対象は▽2~6月のどれか1カ月の収入が1月以前に比べて減少し、年収換算で住民税が非課税となる水準まで落ち込む世帯▽月収が半分以上減少し、年収換算で住民税非課税水準の2倍以下となる世帯―のいずれかに該当することが条件だ。

 東京23区内の場合、会社員の単身世帯は年収100万円以下、専業主婦と子ども2人の4人世帯は約255万円以下が住民税非課税となる。自己申告制で、給与明細など収入減を証明できる書類を用意し、市町村に申請する必要がある。

 ただ、対象条件が複雑なため、市町村の窓口が問い合わせで混雑すれば、新型コロナの感染リスクが高まる。政府はインターネットでの申請も可能にし、5月の支給開始を目指すが、手続きなどの詳細は決まっていないことが多い。困窮する家庭や企業に迅速に給付するため、制度の詰めを急ぐことが求められる。(経済部・小島孝則)