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崩れる「円安=株高」神話-市場は政策転換を催促

<2022年5月13日>

こんにちは。JFSメールマガジン担当の松原蒼空(あおぞら)です。
育てている桜の苗の成長が著しく、植木鉢ではすぐに窮屈になりそうだったので、実家の庭に植え直しました。帰省の際の楽しみがまた一つ増えました。
それでは本日の編集長コラムをどうぞ。

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崩れる「円安=株高」神話-市場は政策転換を催促

1ドル=131円台に下落した円相場を示すモニター=4月28日午後、東京都中央区1ドル=131円台に下落した円相場を示すモニター=4月28日午後、東京都中央区

 外国為替市場で5月9日、1ドル=131円30銭台と、2002年4月以来およそ20年ぶりの円安・ドル高を付けました。円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、原油や食料など輸入品価格の上昇につながり、円安進行の副作用を心配する声が上がっています。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は5月3、4日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.5%引き上げました。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は6月以降のFOMCでも0.5%幅の利上げを続ける方針を示し、インフレ退治に本腰を入れる姿勢を示しています。

 一方、日銀は4月28日の金融政策決定会合で、指定した利回りで国債を無制限に買う指値オペの連日実施を決め、金利上昇を実力で阻止する構えです。日米の金利差は拡大傾向が一段と鮮明になり、金利の高いドルが買われるのは当然の流れと言えそうです。

 日銀の黒田東彦総裁は「全体として円安はプラス」との見方を披露しています。しかし、鈴木俊一財務相は「輸入品高騰を価格に十分転嫁できない環境は『悪い円安』と言えるのではないか」と述べており、円安を手放しで喜べる状況ではないようです。

 そこで今回は株式と為替の関連を調べてみました。今から10年前の2012年5月11日から今年5月11日まで2692営業日の日経平均とドル円レートを用意して、両者の相関係数を算出してみました。相関係数は1から-1の範囲で動き、1ならぴったり連動し、0なら無関係、-1だと逆行する関係にあることを意味します。

 この10年間トータルでの相関係数は0.745だったので、大勢では「円安=株高」だったと言えます。1カ月(21営業日)ベースでは、アベノミクス相場のさなかだった2014年11月14日に0.985と完全連動を意味する1に近い値を記録し、異次元金融緩和による円安進行と株価上昇が並行したことがわかります。

 ところが、直近では円安が株高を呼ぶどころか、株安を招いているようです。21営業日ベースの相関係数は4月15日から5月11日までの15営業日間、-0.226~-0.739で推移し、円安=株安、円高=株高の傾向を示しています。100営業日ベースでは、今年1月13日からずっと、株式とドル円相場の相関係数はマイナスです。

 あらゆる価値の源泉が労働力にあるという経済学の基本に立ち返れば、円安は労働力の安売りを意味します。円安を歓迎しない株式市場はアベノミクス以来の経済政策の転換を催促しているのかもしれません。(伊藤幸二=JFSメールマガジン編集長)
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本日もメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。素敵な週末をお過ごしください。 松原

 

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