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高値圏で推移するイスラエル・シェケル

<2021年12月21日>

こんにちは。JFSメルマガチームの中島 知乃(なかしま ともの)です。
先日近所のスーパーへ行くと、お正月料理向けの特設コーナーが設けられていました。おせちの中身や鏡餅に加え、お餅につけて食べる餡やきな粉などが豊富に置かれており、2022年が近づいていることを改めて実感しました。あと10日ですが、悔いなく今年を締めくくりたいと思います。

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2021/12/20 13:42

〔外為ウオッチ〕イスラエル通貨シェケルが高値圏=ハイテク産業への投資がけん引役

EPA時事EPA時事

 イスラエル通貨シェケルが歴史的な高値圏で推移している。新型コロナウイルス危機を反転攻勢へのきっかけとするほどのイノベーションを生み出すハイテク産業が広く投資を呼び込むほか、堅調な米株式相場を眺めて為替リスクを減らすために機関投資家もシェケル買いに走るなど、国内外のさまざまな要因が重なり合い、高値を演出している。

 ◇コロナ危機で脚光

 各国・地域の中央銀行が相次いで利上げ方針を決めたことにより、緩和マネーが引き揚げられ、自国通貨安が進むとのシナリオに頭を悩ませる新興国が多い中にあっても、シェケルの先高感は強い。シェケルの対米ドル相場は11月半ばに、1ドル=3.04シェケル近辺を付けた。ロイター通信によれば、これは約26年ぶりの高値で、昨年のパンデミック(世界的大流行)以降、対ドルでは1割近く値を上げており、伸び率は新興国通貨ではトップクラスだという。直近の12月20日午前では、やや水準を落として3.12シェケル台での取引となっている。

 イスラエルは、世界の先駆けと言えるほどの迅速さでワクチン接種を進めたことでも知られるが、このコロナ危機からの早期の経済回復期待がまず海外投資家を引きつけた。受け皿となったのはハイテク企業だ。まん延を食い止めるため、三度にわたるロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされ、観光・宿泊業などは大きな打撃を受けた。その半面、在宅勤務や遠隔医療の普及に伴い、サイバーセキュリティーやオンライン診断など新常態(ニューノーマル)を見据えた革新的技術に対する関心が高まるとともに、ハイテク産業への投資もにぎわいを見せた。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)で見ても、ハイテク需要が経常黒字の確保に寄与するなど、投資対象国としての地位は底堅くなったとも言いうる。

 「中東のシリコンバレー」と称されるイスラエルのハイテク産業の源流は、国の成り立ちに求められる。周囲を敵対するアラブ諸国に囲まれ、1948年の建国以来、四度の中東戦争を経験し、常に緊張を強いられてきたイスラエルでは、軍事技術が高度に発展。陸海空に次ぐ「新たな戦場」と位置づけられたサイバー空間における安全保障にしても、世界でも指折りの速さで対策に乗り出した。退役後に起業する人も多く、軍事技術の民生転用もあり、通信・サイバーセキュリティーのほか、医療・バイオや自動運転から農業、最近ではフィンテックまで、得意とする技術の裾野は幅広い。現地では日本を含め世界中の企業による投資・提携が急速に進んでいる。

 萌芽(ほうが)期にある企業への直接投資だけでなく、リスクと効率性の観点から上場投資信託(ETF)などに目を向ける投資家も少なくない。緩和マネーの有望な運用先を物色する海外機関投資家もシェケル相場の主要プレーヤー。最近では、英指数算出会社FTSEラッセルが昨年「世界国債インデックス(WGBI)」にイスラエルを組み入れたことが、イスラエル市場に興味が集まる契機になったと指摘されている。さらに、ロイター通信などは、株価指数算出会社の米MSCIが、イスラエルの地域区分を「中東」から「欧州」へと移行させることを検討中だと報じた。事実上の「格上げ」と言える措置だ。「先進国」の扱いでありながら、地域区分が中東となっている国はMSCIの中では同国だけ。イスラエルの証券規制当局は、指定替えが実現すれば投資判断が引き上げられ注目度も増すとして、数十億ドル規模の資金が株式市場に流れ込むと見積もっているという。

 一方、米国株式の保有比率の多いイスラエル国内の年金基金などの機関投資家も自国通貨を積極的に買い込む。米株市場では、ダウ工業株30種平均のほか、ハイテク株中心のナスダック総合指数やS&P500種指数など主要指標が相次ぎ史上最高値を更新。この株高と歩調を合わせるように、国内勢は先渡契約を通じてドル建て資産を為替ヘッジするため、こぞってドル売り・シェケル買いを急いでいるという。

 ◇中銀も積極介入は見送り

 イスラエル中銀は1月の金融政策決定会合で、過度なシェケル高を防ぐために今年1年間で総額300億ドル分のドル買い介入を行うことを決定していた。前年の210億ドルから大幅拡大した形だ。もっとも、国内機関投資家が外国為替市場で投じた分を相殺する程度の介入額だけに、急騰する相場への影響は限定的だ。これに対し、パンデミックによってサプライチェーン(供給網)の停滞や混乱が世界的なインフレ高進につながっている事態を踏まえて、むしろ自国通貨高は歓迎すべきだとの見方も一部で浮上する。

 自国通貨高は一般的に、国内輸出企業の競争力を奪い、業績を下押しするため、政府・中銀には早急の対策が求められる。青天井で上昇基調が進むわけもなく、中銀がシェケル高をどの程度まで許容するのか、市場参加者は来年の相場展開に気をもみ始めている。(了)(金融市場部・岡上宗達=12月20日)
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本日もメールマガジンをご覧いただき、ありがとうございました。素敵な一週間をお過ごしください。今週もよろしくお願いいたします。 中島

 

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