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日銀の気候変動対応は後発組のモデル?

<2021年7月16日>

こんにちは。JFSメールマガジン担当の春原桃子です。
最近、在宅勤務日はつい面倒でお昼を抜いてしまいがちですが、出社日は充実したランチタイムを心がけています。美味しいお店を知っている同僚が多いので有難いです。今週は飲茶、焼肉などこってり系を満喫したので、来週はあっさり系にするつもりです。それでは、今週の記事をどうぞ。

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2021/07/15 20:31

〔財金レーダー〕日本流は後発組のモデル?=日銀、気候変動対応そろり

時事
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 日銀は、民間金融機関の気候変動関連の投融資を支援する新たな資金供給の仕組みを年内に始める。欧州の中央銀行に比べ出遅れが指摘された日銀もようやく、中銀としての市場中立性を維持しつつ気候変動対応へ踏み出す。ただ、検討中の支援策は、グリーンかどうかの判断を一義的には民間金融機関に委ねるところがミソ。識者からは「欧州のように積極的に踏み出せない他の中銀のモデルになる」という逆説的な評価が聞こえる。

 ◇マンデートと中立性堅持

 中銀の気候変動対策をめぐっては、イングランド銀行(BOE)が、温室効果ガス排出量の実質ゼロへの移行を中銀のマンデート(使命)として取り組む姿勢を示している。

 欧州中央銀行(ECB)もこのほど発表した行動計画で、2022年にECBが企業などに求める気候変動に関する情報開示の詳細を公表するとともに、気候変動リスクに関するストレステストを実施する方針を打ち出すなど積極的だ。

 一方、これまで金融政策を通じた気候変動対策に消極的と見られていた日銀も、6月の金融政策決定会合で対策に取り組む民間金融機関への資金供給制度を設ける方針を発表した。

 11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議長国として意気込む英国や、国境炭素税導入などに積極的なEUに背中を押される中銀とは別の形で、日銀も気候変動対応に決して後ろ向きではないことを示した格好だ。

 黒田東彦総裁は6月の決定会合後の記者会見で、気候変動対策の投融資支援について、「長い目で見たマクロ経済の安定に貢献する」と指摘。結果として、「物価の安定を通じ国民経済の健全な発展に資する」と、日銀のマンデートと整合的だとの見解を示した。

 一方、「ミクロの資源配分への具体的な関与をできるだけ避ける」との意向も示し、中銀として市場中立性を重視する姿勢も示した。新制度では気候変動対策に該当するかどうかの判断について具体的な基準を設けず、金融機関に委ねる方向で中立性を維持する。

 現状、日本には、投融資案件が気候変動対策に該当するかどうかを判断する統一的な分類基準(タクソノミー)が存在しない。「グリーン、ブラウンと切り分けられない移行案件が多数存在し、タクソノミーも国際的に統一されていない」(経済官庁)と、政府でもタクソノミー策定は尚早との見方が強い。

 こうした状況を受け、日銀の支援制度もグリーンかどうかの判断を金融機関に委ねる形になるとみられ、「気候変動対策としてはやや弱い」との指摘がある。それでも、「マンデートの制約から気候変動対策に積極的に踏み出せない他中銀のモデルになる」(大嶋秀雄・日本総研副主任研究員)との評価がある。

 ◇企業に開示と分析を促す

 支援制度は、金融機関が日銀に預ける当座預金の金利について、気候変動への取り組みを踏まえて優遇する。ただ、当初は大幅な上乗せ金利など、投融資を促進する強いインセンティブは設定しない可能性が高い。「はじめから大規模なものではなく、まず第一歩を踏み出すことが重要」(日銀関係者)と、慎重に運用を始める見通し。スモールスタートで着手し、欧米中銀の動向や利用状況を見ながら制度の拡充や追加の政策を検討していくもようだ。

 一方、金融機関の気候変動リスクの把握に当たっては、日銀も参加する各国金融当局などで構成する国際組織「気候変動リスク等にかかる金融当局ネットワーク(NGFS)」が6月に基本シナリオを公開した。これを基に、金融機関自らのリスク分析と照らし合わせ、リスクの見積もりに関する合理的なシナリオ分析の手法を模索していく方向だ。当然、「気候変動リスクを大きく見積もった長期シナリオを出せば悪い結果が出る」(経済官庁)だけに、国際的な議論も踏まえつつ、金融機関などと慎重に意見交換していく構えだ。

 先行する欧州でも気候変動リスクの大きさに応じて金融機関に資本の積み増しを求めるほどの具体的な動きにはなっていない。

 ただ、気候変動リスクを把握するため民間金融機関などに情報開示を強く促していくことは、先進7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の会合でも確認されており、「タクソノミーがなくても企業の開示をみれば、おのずとグリーンかどうかが分かる形が望ましい」(経済官庁)との指摘もある。

 明確な線引きはせずに企業の情報開示を信頼する―。日銀は当面、欧州とは違う日本流の気候変動対策支援を目指していくとみられる。(経済部・戸田亜澄)(了)
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今週もメールマガジンをご覧いただき、ありがとうございました。皆様、素敵な週末をお過ごしください。 春原(すのはら)

 

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