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コンサル力強化する証券界 「聴く」重視で人材育成

<2020年12月22日>

2020/12/18 13:24

〔証券情報〕証券各社、コンサル力強化=「聴く」重視の人材育成、デジタル技術駆使

コンサル力強化する証券界 「聴く」重視で人材育成

 証券各社が顧客に対するコンサルティング力の強化に力を入れている。資産運用ニーズの高まりを受け、営業の軸足を金融商品の販売から長期的な顧客の資産運用支援に移す動きが加速。デジタル技術を駆使したサービスの質向上に加え、「聴く」力に重点を置いた人材育成にも本腰を入れる。

 野村証券は来年度から営業担当の新入社員を原則1年間、電話の問い合わせを受けるコンタクトセンターに配置する。支店で指導を受けながら仕事を覚える従来の教育方針を大転換。これに伴い、センターも現在の3カ所から7カ所に増やし、来年度は約200人の新人を配属する予定だ。

 同社の湯原裕二常務執行役員は、方針転換の理由について、金融商品が多様化し、税制や高齢顧客対応など、より高度な知識や幅広い経験が求められるようになった現在、従来のやり方が「限界に来ている」と話す。

 コンタクトセンターでは一日20~30本の注文を処理したり、法人向けやIT関連など種類の異なる相談を順次こなしたりすることで、早期かつ効率的に業務を習得。規律のある仕事の流れや働きぶりが数字に表れることも指導や適性判断を行う上で効果的という。

 より重要な狙いは、「聴く力」を鍛えることにある。初めて話す相手の要望を迅速・的確に理解するだけでなく、雑談も交えながら顧客に気持ちよく話してもらえる力がつけば、「その後の成長が全然違ってくる」(湯原氏)と期待は大きい。

 センターでは日々、ベテランの指導を受けられるが、同社は対話の専門家による研修も導入した。一言一言の意味や話すスピード、顧客と担当者が話す割合の分析などにより「科学的、学問的に顧客とのコミュニケーションを学んでいく」(同)。

 デジタルの活用では、法人経営者を中心とする顧客を対象にしたオンラインサービスを10月に開始した。書面で提供していた資産の運用状況などをネットで随時確認できるほか、個々の顧客に応じた商品やセミナーなどの情報も提供する。

 このサービスを経由してネット上で営業担当者とやりとりできる「リモート相談」も一部支店で始まった。画面で資料を共有しながら、資産形成などについて担当者が丁寧に応対。遠隔地などへの移動時間がなくなる分、対応の頻度や時間を増やすことができ、顧客からも好評という。

 顧客と遠方に住む子ども、営業担当者の三者面談にもオンラインを活用。相続税制など複雑な話も説明がしやすいといい、顧客家族との関係強化につながっている。

 リモート相談は来春、全支店で展開する。湯原氏は「新型コロナウイルスによって背中を押された。今後、サービスの質が上がってくる」と強調した。

 他の大手証券も人材育成を重視する。大和証券は入社3~5年目の社員を対象にした研修プログラムでEラーニングや資格取得を支援している。この結果、今年4月時点でファイナンシャルプランナーの最高位であるCFPの取得者が1000人を超え、顧客対応の向上につながっているという。みずほ証券はリテール部門の営業担当者約2500人の業績など1000項目について徹底分析。個々に適した研修プログラムを開発し、コンサル力の底上げを狙う。

 SMBC日興証券は在宅での研修を強いられた今年の新入社員に顧客役の担当者が電話し、応対を訓練。新人はコンタクトセンターでの研修用プログラムで株式注文の流れも学んだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は富裕層向けのビジネス展開へ、異動のない長期の担当制を敷く。顧客の評価や預かり資産残高などに基づき報酬を決める制度で、体制を現在の600人から2年以内に1600人に拡大する方針だ。(了)

 

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