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〔月間マーケットサマリー〕(2020年4月)

2020年05月01日 10時36分

 【為替】

 ◆ドル、コロナ危機後退で月末に弱含み=ユーロ、3年5カ月ぶり115円台
      ドル/円(日銀)          ユーロ/円(日銀、終値ベース)
月初    107円50~53銭        118円53~57銭
高値    109円38銭(6日)       118円55銭(10日)
安値    106円41銭(30日)      115円66銭(24日)
月末    106円59~61銭        116円00~04銭

 4月の東京外為市場では、ドルは対円で初旬に新型コロナウイルスの感染拡大による「有事のドル買い」で一時1ドル=109円台に上昇。中旬以降は、おおむね107円台でもみ合う展開だったが、月末にかけて有事対応で放出されたドルの余剰感が強まって弱含み、106円台で月間の取引を終えた。新型コロナ感染拡大で動揺し、10円近い値幅だった前月に比べると落ち着いた値動きとなった。

 初旬はコロナ感染者が世界的に拡大する中、安全資産としてのドル買いが膨らみ、一時109円台半ばまでドルは上昇した。その後は方向感を失いもみ合う中、「OPECプラス」の協調合意による減産規模の縮小への失望感などでドルはじり安基調をたどり、107円台の取引に戻った。

 21日には、ニューヨーク市場で原油先物相場が史上初めてのマイナスを付け、トランプ米大統領が備蓄を積み増すと発言、さらに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の重体報道が流れたが、ドル円への影響は限定的だった。

 下旬になると、コロナ危機対応によるドルの大量供給から市場には「荷もたれ感」が台頭。27日に日銀の金融緩和強化が公表されると日米金利差縮小するとの観測もドル売り材料となり、106円台と月間の安値で月末の取引を終えた。

 ユーロは、ユーロ圏救済基金(ESM)利用による経済対策を受けて中旬に1ユーロ=118円台に上伸したものの、月末にかけて域内経済悪化懸念が強まって売られ、対円では3年5カ月ぶりに115円台に下落した。

 【株式】

 ◆日経平均、コロナ新薬期待で月末に2万円の大台回復=ダウも堅調推移
      日経平均株価           NYダウ
始値    1万8686円12銭       2万1227.38ドル
高値    2万0365円89銭(30日)  2万4764.77ドル(29日)
安値    1万7646円50銭(3日)   2万0735.02ドル(2日)
終値    2万0193円69銭       2万4345.72ドル

2万円を回復した日経平均株価を示す電光ボード=30日午前、東京都中央区
2万円を回復した日経平均株価を示す電光ボード=30日午前、東京都中央区

 【国内株式】4月の東京株式市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念しながらも、世界的な株価回復や各国経済対策などを反映して強含みで推移。月末30日は米ギリアド社の新型コロナ治療薬への期待感から3月6日以来2万円の大台を回復して月間の取引を終えた。

 月初は日本政府が緊急事態宣言を出して、経済活動が制限されるとの懸念から前月から続落基調をたどり、3日は1万7600円台に下落。その後は、欧米での感染者拡大ペース鈍化や経済対策を受けた海外市場の持ち直しを受けて東京市場も反発。7日の緊急事態宣言にもかかわらず、9日まで4日続伸、1万9000円台に乗せた。

 中旬は1万9000円台でもみ合う展開。21日に米原油先物市場が初めてのマイナス価格を付け、米株も急落して一時1万8000円台に軟化する局面もあったが、27日の日銀の追加金融緩和などを受けて月末にかけて強含みで推移した。

 【海外株式】ダウ工業株30種平均は新型コロナの感染拡大が鈍化したとの見方から、反発に転じ、月末まで堅調に推移した。1日は米ジョンズ・ホプキンス大が米国の死者が10~20万人との予測を示したことから1000ドル近く下落したが、6日にはニューヨーク州や欧州で感染ペース鈍化がみられたことから1600ドル以上も上昇した。20日の原油「マイナス価格」を受けて一時調整する場面もあったが、月末にかけて経済活動再開への思惑や、コロナ新薬への期待でさらに値を上げた。月間の上昇率は11%に上り、1987年以来の大きさ。

 ロンドン市場も強含みで推移。29日のFT100種平均株価指数は6000を超え、2カ月ぶりの高値となった。欧州、南米、アジアなど他の市場もおおむね上げ基調をたどった。

 【債券】

 ◆長期金利、日銀追加緩和でマイナス幅拡大=米10年金利、0.60%近辺
    新発長期国債利回り(BB)   米10年物国債利回り(米財務省、終値)
始値   -0.005%             0.62%
高値   -0.055%(28日)        0.58%(21日)
安値    0.020%(2日)         0.77%(8日)
終値   -0.040%             0.64%

 【国内債券】4月の東京債券市場では、月初は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して、安全資産として債券が買われた流れを受けてマイナス圏で取引された。6日以降は海外の感染拡大ペースが鈍化しているとの見方から債券は軟調に推移、長期金利は中旬までプラス圏での推移となった。

 下旬に入ると、日銀が27日の金融政策決定会合で緩和強化を打ち出すとの見方が台頭。24日は日銀に無制限に国債購入するとの報道を受けて政府の国債増発に対する需給懸念が後退、現物に買い物が集まった。決定会合翌日の28日はマイナス0.05%を下回るレベルまで金利は低下。その後も月末まで堅調地合いのまま、月間の取引を終えた。金融機関では在宅勤務の流れが広がっているため、商いは振るわなかった。

 【海外債券】米債券市場は月初、新型コロナ感染拡大による景気悪化懸念から債券が買われ、長期金利は0.60%近辺まで低下した。その後、感染ペースの鈍化や経済対策に伴う国債増発などから売りに転じ、8日は0.8%近くまで金利は上昇。15日は小売売上高が統計開始以来の落ち込みとなるなど経済指標の悪化から10bpも金利は低下。その後も0.60%近辺で取引された。30日はボーイングの大型起債の報道で需給悪化懸念が台頭、0.64%で月間の取引を終えた。

 ドイツ国債10年利回りは、月初にイタリア、スペインの新型コロナ死者数の鈍化を反映して債券を売る動きが出てマイナス0.32%に上昇したが、その後の債券市場は強含みで推移。金利は低下基調をたどった。30日は長期融資制度などを新設した欧州中央銀行(ECB)の政策決定を受けて欧州各国の債券が買われ、ドイツ債の利回りは1カ月半ぶりの水準に低下した。(了)

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〔月間マーケットサマリー〕について
外国為替、株式、債券市場の1カ月間の動きをコンパクトにまとめた記事です。マーケット動向を振り返るときに重宝するコンテンツです。毎月初に配信しています。

 

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