日銀、国債買い入れの減額継続へ=植田総裁会見を時事解説委員がチャット解説
2025年06月16日 11時20分

日銀の植田和男総裁は6月17日午後3時30分、金融政策決定会合を終え、記者会見を行います。時事通信社は、「時事通信映像センター」チャンネルで日銀総裁会見をライブ動画配信するとともに、日銀ウオッチャーの窪園博俊解説委員、編集局デスクらがチャット形式でコメントを入れるショート解説を行います。
日銀は今回の決定会合で、これまで進めてきた長期国債買い入れの減額計画に対する中間評価を行い、2026年4月以降の対応を検討する見通しです。参院選をにらんだ減税、給付金などが取りざたされ、財政状況への懸念が意識される中、金融市場では償還までの期間が20年~40年となる超長期債の利回りが大きく上昇する場面が見られました。会合では現在の減額計画を維持しつつ、来春以降の減額ペースを緩める可能性があるとみられています。
日銀は24年7月、金融正常化の一環として長期国債の買い入れ額を減らす計画を決めました。現在は、買い入れ額を四半期ごとに4000億円ずつ減らし、26年1~3月期に月間の買い入れ額を3兆円程度にする計画を進めています。
日銀が5月下旬に開いた銀行、証券などの債券市場参加者との会合では、「計画途中で減額ペースを緩めると、誤ったメッセージを送ることになるため、適切でない」「買い入れの減額幅やペースの予見性を保つことは重要であり、現行の計画自体は変えるべきではない」などと、現行計画の維持を求める意見が多く聞かれました。来春以降の対応を巡っては、多くの市場関係者が買い入れの減額を継続するよう促しました。
ただ、「四半期当たりの減額幅を2000億円程度まで減らすべきだ」「大きな混乱なく市場で消化されていることから、(現在の)減額ペースを維持することで問題ない」などと、具体的な減額ペースを巡っては見解が分かれています。植田総裁が現在の買い入れ減額計画と市場機能の回復度合いをどう評価し、来春以降の計画で市場にどんなメッセージを出すのかが関心を集めそうです。
トランプ米大統領の高関税政策(トランプ関税)による不透明感が依然強い中、日本経済は内需が力強さを欠き、減速感も見え始めています。トランプ関税や中東をはじめとした地政学リスクの高まりの影響などで不確実性の高い状況が続いており、日銀は今回、こうした情勢を見極める必要があるとして、現状の金融政策を維持するとみられています。
日銀は利上げ路線を堅持しており、市場関係者は今後の政策展開の手掛かりを見いだそうと植田総裁の発言に注目するとみられます。トランプ関税の影響をにらんだ国内外の経済・金融情勢、イスラエルによるイランへの攻撃を受けた中東情勢の悪化といった地政学的リスクを背景とした原油高で懸念される物価上昇圧力などに対する植田総裁の見解は、今後の政策運営のヒントを探る上で関心を集めそうです。
チャット形式の解説は17日午後3時30分から次のWebサイトで行いますので、ご覧ください。
https://financial.jiji.com/seminar/boj_live/20250617
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