4~6月のレンジ幅、1万円程度の開きに=中東情勢が左右―株価フォーキャスト
2026年03月27日 14時00分

時事通信社は2026年4~6月の日経平均株価の見通しについて市場関係者への調査を実施し、16人から回答を得た。米イスラエルによるイラン攻撃を受け、足元で原油価格が上昇する中、株価の変動率が拡大。当面は中東情勢に左右される状況が続く見通しで、予想レンジ(中央値)の上限と下限の差は1万円程度の開きになった。振れ幅は今後も大きくなりそうだ。
上値予想は5万8000円で、過去最高値水準(終値ベース)が多かった。上値の条件としては「中東情勢の改善。具体的にはホルムズ海峡を安全に航行できるようになること」(井出真吾・ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト)との声が大勢。情勢の落ち着き後には「株主還元の拡大や業績懸念の出尽くしから6万円を目指して反発する」(藤原直樹・しんきんアセットマネジメント投信シニアファンドマネージャー)との強気の見方も出ていた。原油価格の下落に加え、「米国でプライベートクレジット問題が個別のファンドの問題にとどまること」(市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメントチーフマーケットストラテジスト)を挙げる声もあった。
一方、下値予想は4万8800円。「中東の混乱が続きじわじわと景気・業績見通しが悪化している想定」(坪井裕豪・大和証券チーフストラテジスト)のほか、「期待外れの企業の業績見通しやインフレ懸念の高まり、米長期金利上昇」が下落要因とする見方が目立った。さらに原油高による国内物価への影響を背景に「日銀が利上げペースを加速したり、市場の利上げ観測が強まって、株価が崩れる可能性はある」(藤代宏一・第一生命経済研究所主席エコノミスト)との指摘も出ていた。
調査は3月下旬に実施した。(了)
【時事株価フォーキャスト(2026年4~6月)回答一覧】
◆名前・肩書き
①■万■~■万■円(方向感)
②上値の条件
③下値の条件
◆平川昇二 ・東海東京インテリジェンス・ラボ・チーフグローバルストラテジスト
①4万8500円~5万7500円(ボックス圏の中を4~5月緩やかに調整、5月底打ち、6月急上昇へ)
②6月上値予想は原油高によるインフレ上昇限定的で米利下げ期待再浮上が株高要因に。
③5月下値予想は期待外れの企業の業績見通しやインフレ懸念の高まり、米長期金利上昇。
◆浪岡宏・T&Dアセットマネジメント・チーフストラテジスト兼ファンドマネージャー
①4万7000円~5万8500円(横ばいからやや底堅い展開)
②中東情勢が落ち着きを見せるなかで、グローバルサプライチェーンの強靭化も意識される展開であれば株価は上昇するだろう。特にAIや半導体株が堅調に推移すると期待している。また、景気の改善に起因する、いわゆる「良い金利上昇」が銀行株や保険株の追い風になるとみている。
③米国とイスラエルによるイランへの攻撃が激化し、ホルムズ海峡が封鎖された状態がしばらく続くと見込まれれば原油価格は上昇して高止まりする可能性がある。そうした中で各国の中央銀行はタカ派化し始めると、グロース株の重しになるだろう。景気が悪い中での金利高が不動産株の重しになると予想する。
◆坪井裕豪・大和証券・チーフストラテジスト
①5万円~5万6000円(期末にかけ持ち直し基調)
②ホルムズ海峡の正常化が4月末頃までに実現していることが前提。中東リスクのエスカレートは無いとの見方が強まり、市場は再びリスクオンムードに傾くと見ている。
③中東の混乱が続きじわじわと景気・業績見通しが悪化している想定。ハイテク株を中心に利益の出ているセクターへの換金売りが相場の重荷となりそうだ。
◆沢田麻希・野村証券・ストラテジスト
①5万0250円~6万円
② 国内景気は、海外の設備投資向けに機械の輸出が増え、多くの企業が大幅な賃上げを発表するなど、底堅く推移しています。また、日本企業の業績は米国関税政策の一巡などから、2026年度業績予想の上振れが強まっています。中東情勢が正常化すれば、日経平均株価は、5万7000円近辺へと水準訂正が生じやすいとみられます。26年6月頃予定されている成長戦略・骨太方針での数値目標の公表や企業の事業ポートフォリオ改革や資本政策によるROE改善期待が高まれば、一段の株価上昇が見込まれます。さらに、26年1~3月期決算発表と企業のガイダンスの中で、中東情勢の影響は軽微でAI関連ビジネスの著しい成長が確認され、FRBの利下げ観測による世界的な株高が実現する場合などが上値達成の条件として想定されます。
③ 中東情勢の問題が長期化する場合、エネルギー価格上昇によるインフレや企業活動の抑制が懸念されます。原油価格が1バレル=100ドル超で高止まりするようなケースで、EPSが下振れるとの懸念が長期化する場合、日経平均株価は5万円近辺で推移するとみられます。
◆窪田 朋一郎・松井証券・シニアマーケットアナリスト
①5万円~6万円(ヘッドラインで一喜一憂するもみ合い)
②上値の条件
原油価格の下落。
③下値の条件
原油価格の高騰と、それに伴う金利の上昇。
◆森田潤・ちばぎんアセットマネジメント・調査部長
①5万円~5万8000円(3月下旬を安値にして上昇)
②比較的早期の中東情勢緊張緩和、ホルムズ海峡の封鎖解除。
来期増益見通し。
③リスクシナリオとして海峡封鎖が続いた場合は株価底割れ、大幅下落。
◆藤原直樹・しんきんアセットマネジメント投信・シニアファンドマネージャー
①5万円~6万円(上昇、下落、上昇)
当面中東情勢の乱高下が続き5万円を下値にもみ合うが、中東情勢が落ち着くとともにもとのレンジの下限である5万8000円台を回復。
その後保守的な決算発表を控えて調整するも株主還元の拡大や業績懸念の出尽くしから6万円を目指して反発する。
② 中東情勢が落ち着き決算に対する懸念が払しょくされる。
③中東情勢が収束せず長引く。
◆井出真吾・ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジスト
①4万5000円~5万8000円(上下にボラティリティー高い)
②中東情勢の改善。具体的にはホルムズ海峡を安全に航行できるようになること。
③中東情勢が悪化し、原油価格がさらに上昇して高価格が長く続くこと。思った以上に慎重な新年度業績予想が示され、例年のように市場がスルーできないと、株価に下押し圧力がかかる。
◆大塚竜太・東洋証券・ストラテジスト
①4万9000円~5万6000円(上昇)
②中東紛争が解決し、ホルムズ海峡の航行が可能になり、原油高が収まること。
③中東情勢が泥沼化し、原油高が国内の物価を押し上げ、企業の業績を圧迫すること。
◆藤代宏一・第一生命経済研究所・主席エコノミスト
①5万円~5万5000円(上昇)
②中東情勢次第(③も同様)。22年に原油価格が高騰した際は価格転嫁が進み、物価が上昇して株価も上昇した。その流れは今回も変わらないだろう。当時日銀はほとんど動かず、イールドカーブコントロールの微調整程度にとどめた。今回、日銀が事態を静観し、半年に1度程度の利上げペースを崩さなければ、株にはプラスだ。
③足元、日銀からは原油高の国内物価への影響に対する警戒姿勢がうかがわれる。日銀が利上げペースを加速したり、市場の利上げ観測が強まって、株価が崩れる可能性はある。
◆市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト
①4万8600円~6万3600円(もみあい)
②ⅰ)米国・イスラエルとイランとの間で停戦協議が行われ、早期合意に至ること、ⅱ)ホルムズ海峡の通航量が急速に回復し、WTI原油先物価格が1バレル=70ドル程度まで落ち着くこと、ⅲ)米国で生成AI需要がさらに拡大し、データセンターなどへの大型投資に対する懸念も広がらず、ハイテク株を中心とする株高傾向が続くこと、ⅳ)米国でプライベートクレジット問題が個別のファンドの問題にとどまること、ⅴ)高市首相が掲げる各種の施策が着実に進展し、責任ある積極財政が市場の信認を得られること、ⅵ)日本企業による投資家の視点を踏まえた質の高い資本効率改善などの取り組みと開示が想定以上のペースで増え、海外投資家の高評価につながること、これら6つが同時に実現すること。
③ⅰ)米国・イスラエルとイランとの間で紛争が拡大、長期化すること、ⅱ)ホルムズ海峡の実質的な封鎖が続き、WTI原油先物価格が1バレル=100ドル超の水準が定着すること、ⅲ)米国で生成AI需要とデータセンターなどへの大型投資に対する懸念が広がり、ハイテク株を中心とした株価の大幅調整が発生すること、ⅳ)米国でプライベートクレジット問題が市場全体の信用不安に発展すること、ⅴ)高市首相が掲げる各種の施策が滞り、責任ある積極財政が市場の信認を得られないこと、ⅵ)日本企業による投資家の視点を踏まえた質の高い資本効率改善などの取り組みと開示が停滞し、海外投資家の間に失望が広がること、これら6つが同時に実現すること。
◆安田光・SMBC日興証券・チーフ株式ストラテジスト
①4万9000円~5万9500円(上昇)
②中東情勢が早期に収束し、日本経済への影響は軽微で企業業績に悪影響を及ぼさない場合。
③中東情勢悪化によるホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が続き、原油価格が高止まりする場合。
◆服部誠・丸三証券・エクイティ本部長
①4万7000円~5万8000円(イラン情勢次第で方向性は大きく異なる。不確実性が極めて高いものの、イラン戦争が早期に停戦合意すれば一旦急反発後5万4000~5万8000円程度での日柄調整を想定)
②一昨年の令和のブラックマンデー、昨年のトランプ関税ショック以降の急反発で成功体験を持つ投資家は多い。イラン戦争が早期に終結し、原油価格が落ち着くことが最低条件だが、海外投資家の日本株買いも再開し、日柄調整を経て5月連休明けに5万8000円程度までの反発は期待できる。
③イラン戦争が地上戦に突入するなど泥沼化し、原油価格が高騰。スタグフレーション懸念が高まり、3月期決算企業の来期見通しは相当控えめになる。200日移動平均線や最高値からのマイナス20%押しに当たる4万7000円程度までの下落を想定。但し中間選挙を控えるトランプ大統領は戦争の早期終結を望んでいるとみられ、可能性は低いのではないか。
◆石原宏美・アムンディ・ジャパン・株式運用部長
①4万6000円~5万5000円。( 短期的なボラティリティが高い状況の中で、中東情勢をにらみながらのもみ合いが続くとみている。仮に地政学リスク後退、27年3月期業績への見通しが大きく後退しなければ、期末にかけて持ち直す可能性もある。)
②中東情勢が早期に安定、原油価格上昇の影響が限定的であるとの確信が高まる。5月の通期決算発表時にでてくる27年3月期業績予想が市場の期待を大きく下回らず、堅調な業績成長見通しが維持される。
③中東情勢の長期化によるスタグフレーションリスクが高まること。原油価格高の長期化、および供給制約への影響によるインフレ加速、およびそれによる消費・民間設備投資活動の後退懸念によるリスクオフ。原油価格高による貿易収支悪化懸念からさらに円安が進行した場合。
◆伊井哲朗・コモンズ投信・社長
①4万7500円~5万6000円(後半高)
②米国のイラン攻撃前には26年度の1株当たり利益を最大15%ほど増加すると予想していた。米国とイランが停戦してもコストプッシュ型のインフレ傾向が残るとみられるが、それでも10%程度の増加が見込まれる。一方、米国では4月に減税マネーが家計や株式市場に流入してくる。7月の建国250周年式典や秋の中間選挙を前に、トランプ政権は株価を意識した政策を打ちだしてくる可能性があり、米国株も日本株も6月末にかけて上がりやすいとみている。
③中東情勢がさらに悪化し、日経平均は節目の5万円を割り込めば株価下落に弾みが付いてしまい、一段安となるリスクがありそうだ。
◆北原奈緒美・内藤証券投資調査部・シニアアナリスト
①4万8500円~5万8000円(前半下向きでも後半戻り歩調)
②東証や金融庁が主導する市場改革の進展と、企業の「稼ぐ力」向上や株主重視経営の浸透を底流に、日本株は中長期的な上昇基調にあるとの見方は変わらない。中東不安が後退に向かい、原油高騰が解消されれば、日経平均は2月に付けた史上最高値に近い5万8000円程度まで値を戻すだろう。
③米国による大規模なイラン攻撃再開など中東情勢に関するネガティブなニュースが飛び込んでくれば、株式はいったん売りに押されそうだ。経験的にスピード調整のめどとされる高値から約10%安を超えると、日経平均は昨年12月の安値水準にあたる4万8500円程度まで下落する可能性があるだろう。ただ、中長期投資家には買いの好機になるとみている。



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