〔為替感応度〕自動車企業、想定レートは平均1ドル144円86銭=26年3月期
2025年11月10日 16時12分

国内自動車メーカー各社の9月決算が10日、ほぼ出そろった。2026年3月期の想定為替レートはトヨタ自動車<7203>など7社の平均で1ドル=144円86銭(時事通信社集計)となった。1ドル=140円前後だった期初に比べて円安方向に修正されたが、依然として市場実勢(10日正午、約153円90銭)に比べ10円程度の円高を前提に業績が予想されている。今後、さらに円安が進めば利益や株価を押し上げることになりそうだ。
トヨタ<7203>は通期想定レートを1ドル=146円(期初145円)、1ユーロ=169円(同160円)と円安方向で見直した。ホンダ<7267>は4~6月決算発表時と比べて5円の円安となる1ドル=145円とした。三菱自<7211>とスズキ<7269>は期初予想を据え置いた。
トヨタは対ドルで1円の円安が営業利益を500億円押し上げると試算している。1円の円安が日産自<7201>では120億円、ホンダでは100億円、三菱自では10億円などの増益効果があるという。
日米交渉で日本からの輸入車に対する関税が15%に決定したことから、トヨタはトランプ米政権による関税負担を従来予想の1兆4000億円から1兆4500億円に変更した。同社幹部は「(負担増に)早急にキャッチアップしようと車両価格を上げるのではなく、市場の状況をみて丁寧に価格対応している」と説明する。一方、日産自は関税影響額を2750億円(従来予想は最大3000億円)に、ホンダも3850億円(同4500億円)に引き下げた。
市場関係者は「特段のサプライズではない」(国内運用会社)と受け止めるとともに、「自動車企業は全体的に関税影響を慎重に構えすぎている」(同)と指摘した。
別の市場関係者は「米連邦最高裁がトランプ関税を違憲と判断する可能性があり、関税の影響はまだ見通せない」(中堅証券)と話している。(了)



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