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日銀、利上げの是非討議=植田総裁会見を時事解説委員がチャット解説

2025年10月28日 10時00分

AFP時事AFP時事

 日銀の植田和男総裁は10月30日、金融政策決定会合を終え、午後3時30分から記者会見します。今回の決定会合では、利上げの是非を討議するとみられます。ただ、日銀内には米国の高関税政策の影響をなお見極めるべきだとの意見などがあり、今回は金融政策の現状維持を決める公算が大きそうです。かつて利上げに慎重な見解を示し、日銀が政府と緊密に連携する必要性を強調する高市早苗首相の誕生を受け、市場では日銀の利上げに向けたハードルが高くなったとの見方が広がっています。時事通信社は、「時事通信映像センター」チャンネルで日銀総裁会見の動画をライブ配信するとともに、日銀ウオッチャーの窪園博俊解説委員、編集局デスクらがチャット形式でコメントを入れるショート解説を行います。

 9月の決定会合では否決されましたが、審議委員の高田創氏、田村直樹氏が0.25%の利上げを提案しました。両委員は10月に行った講演・会見で利上げの重要性を強調しています。金融緩和を支持し「ハト派」と目される野口旭審議委員も9月の講演・会見では、利上げに前向きな姿勢を示しました。審議委員の間で、利上げに向けた機運が高まりつつあり、今回の会合では政策金利の引き上げを促すメンバーが増えるのかが注目されます。植田総裁がこうした動きにどういった見解を示すのかは、今後の利上げを見極めるヒントになると思われます。

 高市首相は21日の就任会見で、日銀の金融政策への対応を問われ、「マクロ経済政策の最終的な責任は政府が持つものだ」との持論を展開しました。日銀法(第4条)に言及し、「日銀の金融政策が経済政策の一環を成すものだということを踏まえ、日銀が政府と十分に連携を密にして意思疎通を図っていく。これが何より大事だ」と強調しました。具体的な金融政策の手法を「日銀に委ねる」とする一方で、「これからもコミュニケーション(対話)をよくしていきたい」と語り、日銀が独断で動くことにくぎを刺しました。植田総裁が会見で、新政権との関係でどんな対処方針を示すのかに関心が集まります。

 高市首相は今週、訪日したトランプ大統領との首脳会談や韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議といった外交日程への対応に追われます。日銀が29、30日の決定会合を前に、高市首相と十分な意思疎通を図るのは難しいとみられています。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は28、29日に金融政策を討議する連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を開きます。市場では、24日に発表された米国の消費者物価の上昇率が総じて落ち着いた内容だったことなどから、追加利下げが決まるとの見方が強まっています。日銀会合では、FRBの金融政策、米国の高関税による経済への影響などを慎重に見極めた上で、利上げの機会を模索することになりそうです。また、最新の景気予測である「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめる予定で、2025年度の成長率見通しを上方修正するとみられています。

 チャット形式の解説は30日午後3時半から次のWebサイトで行いますので、ご覧ください。https://financial.jiji.com/seminar/boj_live/20251030(了)〈8301〉

 

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