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関心薄れる日銀のETF買い 投資家は米政策に注目

<2021年6月29日>

2021/06/25 13:06

〔証券情報〕関心薄れる日銀買い入れ=2カ月ぶり実施も、興味は米政策

金融政策決定会合を終え、記者会見する日本銀行の黒田東彦総裁=18日、東京都中央区の日銀本店[代表撮影]
金融政策決定会合を終え、記者会見する日本銀行の黒田東彦総裁=18日、東京都中央区の日銀本店[代表撮影]

 6月21日に日銀が2カ月ぶりに指数連動型の上場投資信託(ETF)を買い入れたことが、株式市場の一部で話題になった。市場が不安定化すれば日銀が動くと確認できたことは株価にとって悪い材料ではない。ただ、投資家の目は米国の金融政策に集中しており、日銀の日々のオペレーションへの注目度は低い。

 6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て引き締めへの警戒感が出ていた中、セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁が2022年終盤に利上げが始まるとの見解を18日に示したことで、同日の米株が急落。21日の東京市場も朝から全面安となり、前場の東証株価指数(TOPIX)は2.55%下落した。これを受け、日銀は同日にETFを701億円買い入れた。

 前回4月21日に日銀がETFを買った際は、前場のTOPIXが2.17%下落。それ以降、6月21日までは前引けで2%超下落することがなかったため、市場では、今後、「2%超」が買い入れ発動基準になるとの見方が出ている。

 日銀はETF買い入れについて「マーケットが非常に不安定化したときに大規模に購入するのは、単位当たりでも効果が大きい」(6月18日の黒田東彦総裁会見)としている。6月22日の日本株は大幅反発しており、日銀の買い入れ効果が出たようにも見える。

 ただ、同日の株価上昇は前夜の米株高が主因。市場では「日銀買い入れがなくても、同じように戻った」(国内証券)との声が聞かれた。18日の米株や21日の日本株の急落自体、FOMC後の投資家心理不安定化による一時的な振れとの見方も多く、「マーケットが非常に不安定化したとき」に該当するかは微妙だ。急落の背景にあるのは米金融政策で、日銀の政策の及ばない範囲。「日銀は無駄弾を撃った」(株式ストラテジスト)との指摘もある。

 今後、前場にTOPIXが2%超下落した局面で日銀が買い入れを繰り返せば、押し目買いを入れる投資家が増え、政策効果は上がるかもしれない。もっとも、「2%超の下落で日銀が必ず買ってくるとは限らない」(同)という。世界的に金融緩和政策からの出口を模索する動きが広がっており、日銀も「(緩和の)アクセルから少しずつ足を離す過程にある」(同)とみられ、ETF買い入れ終了を徐々に市場に織り込ませる可能性があるという。

 幸いなのは「米連邦準備制度理事会(FRB)による対話の成果もあって、市場のテーマが中央銀行によるサポートから、景気回復による企業収益拡大へと移りつつある」(大手証券)ことだ。

 年間6兆円という買い入れペースの目安は撤廃され、仮に「2%超安」という発動条件が完全に適用されたとしても、年間の買い入れペースは1兆円をはるかに下回りそうだ。

 一方、日銀は過去の金融危機で銀行から買い入れた株式を一定のペースで処分している。15年12月に改定した「株式処分の指針」では、26年3月末までに処分を終えるため「おおむね均等のペースで売却を進める」としており、市場関係者の試算では毎年約3000億円ずつ株式を売っているとみられる。ETFの買い入れが行われなかった4月22日からの2カ月間、日銀は実質的に売り手に回っていたことになるが、この間、ことさら需給不安が高まることはなかった。ETF買い入れは「撤退の好機」(同)を迎えたのかもしれない。(了)

※「JIJI Financial Solutions PickUp News」は、7月から「JIJI Financial Solutionsメールマガジン」にタイトルが変わります。引き続き、ご愛読の程よろしくお願いいたします。

 

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