〔解説〕V字回復難しく=4~6月期GDP
2020年08月17日 11時44分
新型コロナウイルスの衝撃の大きさが明らかになった。2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、年率換算で27.8%減と戦後最悪の落ち込みを記録した。内需の柱となる個人消費は底割れし、輸出の落ち込みも壊滅的。当初期待された「V字回復」は困難との見方が大勢となっており、先行きは不透明だ。
個人消費の下げ幅は比較可能な1980年以降で最大となった。外出自粛や店舗休業でレジャーや飲食、宿泊などのサービス消費は蒸発した。個人消費は6月に持ち直しの動きを見せたが、7月以降は感染再拡大や天候不順で勢いが鈍る。政府は「4、5月を底に内需主導で成長軌道に戻す」(西村康稔経済財政担当相)と期待するが、消費マインドは依然低迷しており、筋書き通りには進まないとの見方が広がる。
米欧向けを中心に落ち込んだ輸出の持ち直しも緩やかなペースにとどまりそうだ。各国とも経済活動再開と感染防止の両立に苦慮する。訪日外国人旅行者の消費の減少も痛手となった。
4~6月期のGDPは年率換算で485兆円となり、第2次安倍政権が発足した12年10~12月期(498兆円)を下回った。
エコノミストの多くは、GDPが19年度(533兆円)の水準に戻るのは23年度以降と予測する。景気回復が遅れれば失業者が急増し、経済の下振れは避けられない。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は成長戦略や規制緩和への取り組みが不十分で、コロナ禍はその限界をあらわにした。景気の本格回復には、社会全体のデジタル化加速による生産性向上などが急務となる。(了)
緊急事態宣言
新型コロナウイルス対策の特別措置法32条に基づく措置。コロナのような感染症が「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を …