次世代太陽電池、40年に20ギガワット目標=600万世帯分、費用減支援―経産省
2024年11月26日 18時00分
経済産業省は26日、フィルムのように薄く、折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」を普及させ、2040年の発電容量を20ギガワットとする目標を発表した。原発20基分、約600万世帯分の電力供給力に相当する。
既存の太陽光パネルに比べて発電コストが高いため、研究開発や量産化を支援し、費用の削減を図る。大幅に削減できれば、目標を2倍超の40ギガワット以上に引き上げる。
企業や自治体による官民協議会を26日開き、目標を盛り込んだ戦略をまとめた。海外需要は500ギガワット以上に膨らむと試算し、海外市場向けも視野に量産体制の構築を急ぐ。
ペロブスカイト電池は、ビルの壁面などにも設置でき、再生可能エネルギー導入拡大の切り札と期待される。一方で費用の高さが課題となっており、戦略では発電コストを40年に1キロワット時当たり10~14円と、既存パネルの現在の水準に近づける。25年度から当面は補助金で導入を後押しする。
政府は中長期的なエネルギー政策の方針を定めた「エネルギー基本計画」で、再エネの電源構成比を30年度に36~38%と設定。23年度実績は22.9%だった。
年内に示す次期計画の素案では40年度の目標を新たに掲げる予定で、脱炭素社会実現に向け、再エネ比率は引き上げられる見通しだ。
◇次世代太陽電池
次世代太陽電池 ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ材料を発電に用いた太陽電池で、日本発の技術。薄くて軽く、柔軟なのが特長で、建物の壁やガラスなどに設置できる。既存の太陽光パネルは中国製が世界市場を席巻するが、ペロブスカイトの主原料のヨウ素は日本が世界シェア第2位の約3割を産出するため、安定した調達ができる。中国や欧州で量産の動きがあり、国内でも積水化学工業が2025年の事業化を表明。東京都内で高層ビルに設置する計画も進む。(了)
ペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ材料を用いた次世代型太陽電池。日本発の技術で、薄くて軽く、柔軟なため、建物の壁やガラスなど場所を選ばず …