〔ブル&ベア〕ファミマと大戸屋、TOB価格から離れる=思惑絡んだ売買続く
2020年07月16日 13時05分
TOB(株式公開買い付け)の対象となった2銘柄がTOB価格にさや寄せせず、逆に離れる動きをみせている。市場関係者の見方は一様ではないが、TOBを実施する企業の狙い通りには進まないとの思惑があるようだ。
ファミリーマート<8028>は前日比51円高の2448円で、伊藤忠<8001>が表明したTOB価格2300円を上回っている。一方、大戸屋HD<2705>は13円安の2888円。コロワイドが表明したTOB価格3081円を下回っている。
ファミマ株の上昇については「売り物が出にくい中、売方が上値での買い戻しを迫られている」(中堅証券)という需給要因を指摘する声がある。同株はもともと浮動株比率が低い。日経平均株価に連動する形で資産運用する投資家が、TOBに先んじてファミマ株だけを市場で売ることも難しい。
また、一部では「いずれ伊藤忠はTOB価格を引き上げざるを得ない」(大手証券)との思惑も出ているという。この市場関係者は、新型コロナウイルス問題で株価が下落した後だけに、伊藤忠が示すプレミアム付きのTOB価格でも長期保有の少数株主は満足しないだろうと指摘。コンビニ店の無人化が進むなど事業の形が変化すれば、外資系企業との連携などでファミマの企業価値が上がると考えている。
一方、大戸屋のTOBでは、買い付けをするコロワイドが子会社化後も大戸屋の上場を維持する方針。コロワイドは現在約19%の保有比率をTOBにより約51%に高める予定だが、上限を設定しているため、単純にはTOB価格に収束しにくい側面がある。そのほか、市場では「投資家はコロワイドの財務体質を懸念している」(前出の中堅証券)との見方も出ている。(12時59分)(了)
日経平均株価
2021年2月15日、日経平均は1990年8月以来30年半ぶりに3万円の大台を回復した。新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大打撃を受け …