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10~12月、「上昇」最多=年末2万8600円-時事・株価フォーキャスト

2022年09月30日 14時00分

 

(注)予想分布の下限2万5500円には2万5800円(2人)を含む


 時事通信は10~12月の日経平均株価の見通しについて市場関係者にアンケートを行い、24人から回答を得た。予想の最多は上値が2万9000円で6人、下値は2万5500円で8人。方向感は「上昇」や「上向き」を予想する回答者が14人で最も多かった。今年末の予想値は2万4000円から3万0500円まで分散し、中央値は2万8600円だった。

 上値のレンジは2万7000~3万1700円。上値に達するための条件では、世界的なインフレの落ち着きや金融引き締めペースの鈍化、企業業績回復を挙げる意見が多かった。一方、下値のレンジは2万4000~2万6000円。条件としてインフレ高進、金融引き締めの加速、米欧や新興国の景気減速などが指摘された。

 調査は21~28日に行った。(了)


【市場関係者の株価予想】
 市場関係者の回答は以下の通り。
①日経平均株価の10~12月の予想レンジ(方向感) 
②上値実現の条件
③下値実現の条件
④年末の株価


◆市川雅浩:三井住友DSアセットマネジメントチーフマーケットストラテジスト

①2万5400~3万1700円(もみ合い)

②米国など主要国のインフレが、この先沈静化し、それに伴って景気減速懸念も大幅に後退すること。

③米国など主要国のインフレが長期化し、更なる利上げの織り込みと、それに伴う景気減速懸念が一段と強まること。

④2万8700円


◆仙石誠:東海東京調査センターシニアエクイティマーケットアナリスト

①2万6000~3万1000円(上昇)

②インフレが落ち着き、利上げペースが落ち着くこと。米金利の低下がポイントになりそう。日本企業の中間決算発表時に自己株式取得の決議が膨らむこと。

③インフレが落ち着かず、米10年債利回りが4%を超えること。金利の上昇により、想定以上に世界経済が落ち込むこと。

④3万0500円


◆安田光:SMBC日興証券チーフ株式ストラテジスト

①2万5000~3万0500円

②国内企業の堅調な7~9月期決算の発表。中国製造業購買担当者景況指数(PMI)などで景況感が回復し、日本株のバリュエーションを上昇させる。米国の労働需給逼迫(ひっぱく)が解消に向かいインフレのピークアウトをマーケットが意識する。

③各国中銀による引き締め効果により企業業績悪化が顕在化。中国景気回復の後ずれ、インフレピークアウトの後ずれ。

④2万9500円


◆井出真吾:ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト

①2万6000~3万円(上向き、年末高を予想)

②しばらくは2万6000~2万8000円程度でのもみ合いが続くだろうが、米国のインフレ鈍化、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げのピークアウト感、企業業績の上方修正の三つが重なって年末高になると予想する。

③米金利が先走って上昇したり、米景気に失速感が出て、米株が下げ止まらなくなること。

④3万円


◆壁谷洋和:大和証券チーフグローバルストラテジスト

①2万5500~3万円

②主に海外勢による、日本株への見直し買いが進むこと。そうなれば、米国株安からの直接的なダメージは和らげられる可能性がある。背景として、海外勢の日本株ポジション整理は相当進んでいると見られ、仕切り直しの買いの準備はできていると推察される。また、そうした中での円安進展は、企業業績の押し上げと、ドルベースで見た株価の割安感を強調する。さらに、岸田政権が掲げる少額投資非課税制度(NISA)の拡充は、若い世代からの「貯蓄から投資」の流れを促し、海外勢にとっての日本株投資の魅力を高めると予想される。 

③米インフレ指標が思うように減速せず、もう一段の米金利上昇が起きた場合、日経平均は6月安値に接近することも考えられる。メインシナリオではないものの、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、再び政策金利見通しが引き上げられるようだと、株式バリュエーションの下方修正は避けられないものとなるだろう。 

④2万9500円


◆浪岡宏:T&Dアセットマネジメントチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー

①2万4800~2万9900円(しばらくもみ合いの後に上昇)

②コモディティー価格が落ち着きつつ、サプライチェーン問題も解消に向かいつつある中で、先行き、米国の消費者物価指数(CPI)の鈍化傾向が鮮明化し、FRBのタカ派姿勢も不要となれば、米国株の下落トレンドは終息するかもしれない。そのような状況にありながらも、実需フローなどを背景に為替市場で急速な円高進行が発生しなければ、日本株は大きく上昇し、日経平均3万円近傍に近づくこともあり得るだろう。

③米国の長期金利はさらに上昇する可能性もある。特に、ここからの金利上昇は実質金利の上昇を背景としたものとなろう。実質金利と米S&P500種指数の株価収益率(PER)のこれまでの関係性から言えば、PER13倍でも割高と評価されるかもしれない。その場合、S&P500種指数は3200を割り込む可能性もある。加えて1株当たり利益(EPS)の下方修正も気がかりである。S&P500種指数が3000程度まで落ちれば、割安感のある日本株も影響を受けるだろう。

④2万8800円


◆小高貴久:野村証券シニア・ストラテジスト

①2万4500~2万9500円(底固めの範囲で横ばい圏から若干上向き)

②12月FOMCで利上げペースの減速が明らかになる。米国の景気減速が多少あるかもしれないが、日米企業業績が堅調であること。

③米国の景気失速が鮮明になり、企業業績が下方修正トレンド入りする。また、中国の景気失速も明らかになり、世界経済の成長に悲観論が強まる。

④2万6000円


◆三宅一弘:レオス・キャピタルワークス経済調査室長

①2万5500~2万9500円を中心とするもみ合い(→↗(年末にかけて上昇))

②米物価高騰のピークアウト感やFRB大幅利上げ観測のスローダウンに伴う、米長期金利のピークアウト&低下。

③米物価高騰継続、FRBの大幅利上げ継続観測。米景気の急速な景況感悪化(景気後退)。

④2万9000円


◆大谷正之:証券ジャパン調査情報部部長

①2万5800~2万9500円(上向き)

②FRBによる先行きの利上げシナリオが見通せるようになり、米国の物価上昇が加速しなければ、大きく崩れることはない。米国では個人消費が堅調さを保っており、雇用が多少鈍っても景気が大きく後退することはないだろう。

③悪材料はかなり相場に織り込まれており、現状、株価はレンジ下限に近いとみている。

④2万9500円


◆三井郁男:アイザワ証券ファンドマネージャー

①2万5500~2万9000円(なだらかな上昇基調)

②コロナ感染が拡大しない。内需がさらに正常化する。国内旅行支援などの政策効果が出て外国人旅行者の上限が撤廃される。物価対策を含む経済対策が実施される。自動車の挽回生産が加速し外需産業が円安効果も含め堅調に推移する。米国中間選挙を経てイベントリスクが低下する。

③コロナ感染が再び拡大し、中国のゼロコロナ政策も長期化する。岸田内閣の支持率が低迷する。欧州のスタグフレーション懸念が強まる。ロシアや中国の地政学的なリスクが強まる。新興国の債務問題が拡大する。

④2万8500~2万9000円


◆香川睦:楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジスト

①2万6000~2万9000円(反転上昇↗)

②(1)米長期金利の低下と米国株の反転上昇(中間選挙年の米国株には「年末高」となりやすいアノマリーがある)(2)円安基調を主要因に国内の外需企業の決算発表が底堅く業績見通しも改善する(3)コロナ禍から脱する「リベンジ消費」と「インバウンド期待」で内需などが回復基調をたどる。

③(1)米長期金利の上昇と米国株の下落が続く(リスクオフ姿勢に伴う外国人投資家による日本株売り)(2)国内企業の決算発表と業績見通しが市場予想を下回る(3)コロナ禍が続き内需の重しとなる(年末にかけて感染者数が再拡大する)。

④2万9000円(レンジの上限=年末高)


◆山本信一:岡三証券シニアストラテジスト

①2万5500~2万9000円(上昇)

②米国市場で金利上昇の織り込みが進む。底堅い7~9月期決算の確認。

③米欧の金融引き締めによる景気悪化懸念が新興国にも拡大、市場が混乱。

④2万9000円


◆新井洋子:三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ・グローバル投資ストラテジスト

①2万5000~2万9000円(やや上昇)

②グローバル景況感の改善、特に中国景況感が当局が実施する財政・金融政策によって改善基調が明確となること。ドル高・円安と原材料高による輸入物価の上昇による個人消費への影響が限定的となり、経済活動の正常化が国内景況感を明るくすること。

③海外景気、米国経済の失速が鮮明化し、景気後退がより意識されるなどの外部環境の悪化。インフレ高進によって国内消費の減速が鮮明化していくこと。供給制約が緩和方向に進まず、原材料高が企業利益を圧迫する。

④2万8000~2万9000円


◆藤代宏一:第一生命経済研究所主任エコノミスト

①2万5500~2万9000円(上向き)

②円安は引き続き日本株全体にプラスに効く。名目賃金は上昇しており、個人消費の回復もある程度期待できる。企業業績の方向性も良い。 

③米株が金融引き締めを背景に急落し、日本株も連れ安となること。

④2万8000円


◆大塚竜太:東洋証券ストラテジスト

①2万5500~2万9000円(上向き)

②現在の株価は下げ過ぎ。業績は回復傾向にあり、円安は輸出企業にとって追い風となる。国内経済も本格的に再開・正常化し、消費やインバウンドの増加が見込まれる。欧州が投資先として敬遠されれば、日本に資金が向きやすくなることも考えられる。自社株買いも活発だ。

③米国の物価上昇、金融引き締めが続くことへの警戒感。欧州経済に対する不安も強まっている。

④2万9000円


◆伊井哲朗:コモンズ投信社長

①2万5000~2万8500円(二番底から反転)

②インフレと金融引き締めペースをめぐる先行き不透明感が和らぐこと。

③インフレに伴う金利上昇圧力が大きくなること。10~12月期に日経平均株価が今年6月20日の水準(終値2万5771円)を下回る二番底を形成する場面が到来しそうだ。ただ、来年後半から市場の関心が利下げに移り、金融政策をめぐる不確実性が減ってくるとみられ、今年10~12月期は今後3~5年の間で最高の買い場となる可能性がある。

④2万8000円


◆野坂晃一:証券ジャパン調査情報部副部長

①2万5800~2万8500円(乱高下)

②早期のインフレ収束期待の高まり。FRBによる利上げペース鈍化観測が強まれば、株価は戻り局面に入るだろう。

③対ロシア制裁をめぐる欧州諸国の結束の乱れ。イタリアの極右勢力による政権獲得で欧州全体の政治的な不透明感が強まる恐れがある。ボラティリティの大きい相場が予想される。

④2万8000円


◆糸島孝俊:ピクテ・ジャパン投資戦略部ストラテジスト

①2万5500~2万8500円(上昇)

②地政学リスク、インフレの先行きや世界景気の減速リスク・欧米の金融政策の引き締めリスクなどが和らぐ。

③地政学リスク、インフレの先行きや世界景気の減速リスク・欧米の金融政策の引き締めリスクなどを株価が織り込む。

④2万8500円


◆北原奈緒美:内藤証券投資調査部シニア・アナリスト

①2万5500~2万8300円(レンジ相場)

②10月策定予定の総合経済対策の評価、NISA恒久化確定への期待、インバウンド関連銘柄の選好など。

③地政学リスクの高まり、米欧でのスタグフレーション懸念、輸入物価上昇による企業の利益圧迫。

④2万8300円。企業の上期業績によっては上抜けする可能性もあるだろう。


◆服部誠:丸三証券専務(エクイティ本部長)

①2万4800~2万8300円(いったん反発しても上値追いする材料は乏しく、上値の重いレンジ相場が続く)

②米実質金利がピークアウトし、米ハイテク株が底入れ反転すること。サプライチェーン正常化に伴うリベンジ生産や円安による輸出採算の改善、インバウンド再開への期待、経済活動再開による内需の景況感改善など日本固有の材料や、相対的な割安感に着目した海外投資家の買いが入ること。

③米長期金利が高止まりすることで米国経済の減速が更に顕在化するだけでなく、金利上昇による信用不安や新興国リスクが強く意識される。日本企業の決算は内需企業を中心に悪くはないが、グローバル企業については外部環境の不透明感から中間決算においても慎重な見通しとなり失望売りを誘う。

④2万8000円


◆福田理弘:フィデリティ投信インベストメント・ディレクター

①2万5000~2万8000円(レンジ内でのもみ合い)

②円安効果に支えられて国内企業業績の上方修正が実現する。

③米国で景気後退の兆候が広がり国内企業業績への波及が警戒されるようになる。

④2万6500円


◆村山大知:カイカ証券アナリスト 

①2万4000~2万8000円(乱高下)

②円安一服と米国株の下げ止まり。「円安=輸出企業が主導する株高」の図式が崩れている。高値の切り下げ基調が続いており、年内の上値余地は限定的だろう。

③円安加速と米国半導体株の値崩れ。安全資産とされる債券が売られる中で株式が売られるのはやむを得ない。日本株に影響する米半導体株の動向を把握するためにはフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の観察が重要だ。

④2万5000~2万6000円


◆益嶋裕:マネックス証券マーケット・アナリスト

①2万4500~2万8000円

②FRBの引き締め姿勢の和らぎ、日銀の緩和姿勢の堅持。

③FRBが強い引き締め姿勢を継続または加速、日銀の緩和路線の方針変更。

④2万8000円(年末にかけてインフレが和らぐとの期待もこめて)


◆菊池真:ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役 

①2万4000~2万7000円(下落)

②短期的な下げすぎのリバウンド。ショートの買い戻し主導。

③高インフレと金融引き締め強化の悪影響が企業業績に顕在化。2023年の予想業績の引き下げ。

④2万4000円


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