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ESG経営と業績成長を両立…ユニ・チャーム上田ESG本部長〔PR〕

2022年10月03日 12時00分

ユニ・チャーム 上田健次執行役員・ESG本部長ユニ・チャーム 上田健次執行役員・ESG本部長

 日用品大手ユニ・チャームはESG(環境、社会、企業統治)経営の先駆者として知られ、2022年12月期は21期連続増配を予想する実力企業だ。ESG経営と力強い業績成長を両立する同社のESGへの取り組みを上田健次執行役員・ESG本部長に話を聞いた。

--現行のESG体制は?

 2020年10月、中長期目標として「Kyo-sei Life Vision 2030」を公表した。企業としての使命は、人やペットとだけではなく地球環境と共生する「共生社会」の実現だ。そこに至る道筋を明示するもので、健康寿命延伸や顧客満足度向上、リサイクルの拡大など内容は多岐にわたる。

 役職者900人が部下と対話し、共生社会実現に向けた課題や目標を絞り込み、「Kyo-sei Life Vision 2030」に盛り込んだ。全世界で働くユニ・チャームグループの約1万6000人の想いが土台となるものだ。

 当社は1961年の創業以来、「世の中の不快なものを解決する」企業としてぶれることなく事業を続けてきた。高原豪久社長は「2030年に世界一の企業になる」との目標を掲げており、商品のシェアだけでなく、ESGでも世界最高を目指し、社会的責任を果たす強い想いが従業員一人一人に浸透している。

--ESGへの対応はコストが掛かりそうだ。

Kyo-sei Life Vision 2030Kyo-sei Life Vision 2030

 この原料はどこから来たのか、製造や廃棄の過程で自然に過度な負荷をかけていないかを把握するトレーサビリティー(追跡可能性)に手間はかかるが、消費者の安全や安心に直結する。環境対応は品質維持と同じだ。ダイバーシティー(人材の多様化)や従業員の人権への不適切な対応が株主価値を損なう恐れもある。ESGはコストというより自社商品の差別化に欠かせない要素と捉えている。

--商品の性質上、リサイクルは不可能では?

 当社の主力商品である紙おむつは完全な衛生性を求められ、リサイクルが難しいとされてきた。しかし、2016年から鹿児島県の志布志市や大崎町と協力し、世界初の紙おむつリサイクルの実証実験を続けている。両自治体ともごみの減量に熱心に取り組んでおり、目指す方向は当社と同じだ。

 大腸菌などを滅菌するだけなら塩素などを使えば良い。しかし、滅菌したリサイクル素材に有害な塩素などが微量でも残存する可能性を排除できない。研究を重ねた結果、強力な酸化作用で滅菌や無臭化に威力を発揮するオゾンで代用できることが分かった。分別回収した紙おむつを破砕・洗浄し、オゾン処理したパルプは色も手触りも新品の素材と見分けがつかない。

 リサイクル品は志布志市内などの高齢者施設で使ってもらっている。社会の高齢化が進み、排せつケア用品の需要が増えれば廃棄物の問題も当然出てくる。リサイクル品が普及していく社会的メリットは大きく、当社の中長期的な成長にもつながる。

 ESGが重要であるとともに、企業として業績も良くなければならない。新規事業に乗り出すに当たって検討するのは、市場に成長性があり、そこでユニ・チャームが勝てるかだけではない。勝てる理由に社会課題の解決が含まれているかも徹底的に吟味する。

-すべて順調なのか?

 目下奮闘中なのは「Kyo-sei Life Vision 2030」に盛り込んだ、石油由来の素材の使用量を2030年までに半減すること。紙おむつの漏れを防止するフィルム類などの大幅削減だ。決して容易ではないのを承知で、あえて高いハードルを設定した。イノベーション(技術革新)を促すためだ。「現行比10%改良」といった多少の工夫で実現できそうな目標を掲げ、達成率を上げることは否定しない。しかし、多少の工夫では到達できそうにないほど目標が高ければ、大胆かつ斬新な発想でクリアしようとする動きが出てくるものだ。

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用語解説:
・トレーサビリティー
商品の原料の調達から製造・加工、流通、消費、廃棄やリサイクルまでの過程が追跡可能であること。もともとは自動車業界や食品業界で品質管理や生産効率向上を目的として、原材料や部品、製品に番号を付けて「誰がいつ、どこで作っていたか」を記録する手法を指したが、最近では幅広い業種の企業や団体による活動の各段階で、環境汚染や人権侵害がなく、サステナブル(持続可能)であることを証明するためにトレーサビリティーが活用されている。

・ダイバーシティー
多様性。ビジネスの世界では、人種や国籍、ジェンダー、年齢、宗教など多様な人材を活用することを指す。差別をしないだけでなく、人材に多様性を持たせることで変化に対応できる柔軟な組織づくりが可能になるとされる。


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