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市場再編、評価と課題=「投資家の声、反映を」「効率経営促す契機」「中長期に効果」

2022年04月04日 17時03分

株式市場が再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の新区分で始動した東京証券取引所=4日、東京都中央区株式市場が再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の新区分で始動した東京証券取引所=4日、東京都中央区

 東証の市場再編に対する評価と課題について、インターネット金融大手、米資産運用会社、シンクタンクの専門家3人に見解を聞いた。

 ◇投資家の声、反映を=松本大・マネックスグループ社長

 市場や経済は常に変化しており、対応するには上場基準を含む市場の在り方を不断に見直していく必要がある。その際、重要なのは、資本市場の意思決定者である投資家の意見を聴くことだ。少なくとも年に1回は議論し、当面の方針を決めていくよう求める。

 市場再編の検討過程では投資家目線が後退し、発行体企業の要望が聞き入れられた印象がある。「経過措置」は導入自体、問題だったが、仮に5年といった期間になるとすれば論外だ。5年後の資本市場は今とは全く違う風景のはずだ。

 重視される株式の流動性を的確に判断するには、大量保有報告書の記載方法の改善も不可欠だ。

 ◇効率経営促す契機=窪田慶太・米ニューバーガー・バーマン日本株式運用部責任者

 日本企業の株価が欧米企業に比べ出遅れていたのは、非効率な経営に対する投資家の評価が低かったからだ。企業が取引先と長年株式を持ち合い、不採算事業であっても「創業者が始めたから」などと本来説明がつかない理由で温存してきた行いが典型だ。

 上場基準で流通株の割合や時価総額を重視した東証の市場再編は、企業に効率的な経営を促す契機となり、これまでの緩い経営姿勢は通用しづらくなる。市場では経営陣が危機意識を持って改革を進めるかどうかで企業の選別が進むだろう。今後は国際基準に見合った気候変動リスクの開示など企業統治の対応拡充を期待したい。

 ◇中長期に効果出る=神尾篤史・大和総研主任研究員

 東証の市場再編では、上場維持基準が新規上場時と同じ水準に引き上げられ、企業は上場維持のための努力が常に求められるようになった。特に中堅企業にとって最上位市場への上場が「ゴール」でなくなった意味は大きい。不断の価値向上が促され、中長期に効果が出てくると期待される。

 一部の企業で投資や株主還元の戦略を積極的に開示する動きが見られる。投資家は透明性の向上を好感しており、企業は戦略をどう伝えていくかが今後の課題となる。

 ただ、日本企業全体の時価総額や株式の流動性を増すには市場改革だけでは不十分だ。産業政策による生産性向上といった底上げが求められる。(了)

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