堂島商取、24年度の黒字化目指す=4月1日に株式会社移行
2021年03月31日 17時36分
大阪堂島商品取引所が4月1日に経営再建のため会員組織から株式会社に移行するのを前に、社長に就任するSBIホールディングス<8473>顧問で前金融担当相の中塚一宏氏は31日、東京都内で記者会見し、2024年度に黒字化したい考えを表明した。収益力強化へ、現在のコメ先物に加え、金、原油、金融の先物商品も順次投入。内外の投資家が集まりグローバルな取引が行われる「総合取引所」を目指す意向を示した。
SBIは大阪、神戸への国際金融センター誘致構想を掲げ、堂島商取をその中核に据える方針。また大阪の国際金融都市構想をめぐり、大阪府・市や関西経済団体、SBIなど金融機関をメンバーに、官民を挙げた推進組織が29日に発足した。
中塚氏は日本の金融業について「一極集中になる必要は全くない」と強調。金融活性化が、ITも融合したフィンテックや情報データ企業の関西での集積につながるとの見方を示した。
堂島商取は21年度に、期限付きの試験的な上場が続いているコメ先物を期限のない本上場に移行させるなど、農産物取引を強化。その上で22年度に金・銀をはじめ貴金属、原油・天然ガスといったエネルギー関連、23年度に外国株価指数などに連動する金融の先物商品を投入する計画だ。
堂島商取は取引低迷で赤字経営が続いたため、株式会社移行を前に20億円の増資を行い、財務基盤を強化。その結果、出資比率はSBIと筆頭株主となった系列のジャパンネクスト証券(東京)で3分の1超を占めており、今後は資金・人材の両面でSBIの強い支援を受け再建を図る。
◇国際金融都市
グローバルな金融取引・投資の中心都市。ニューヨークやロンドンのほか東京、上海、香港が知られている。このうち香港は中国の統制強化で地位低下が危惧され、政府は金融人材の呼び込みなどを狙い、誘致構想を加速させる考え。また東京証券取引所の大規模システム障害に批判が高まる中、東京に次ぐ規模の大阪も国際金融強化を打ち出した。大阪府・市や関西経済団体、金融機関による推進組織が設立され、2021年度中に基本戦略を策定する。(了)
国際金融都市
東京以外にも国際金融センターを目指す動きが出てきた。SBIホールディングスの北尾吉孝社長は大阪・兵庫地区での整備を提唱。福岡県は産学官が連携 …