米で投資会社への規制強化論強まる=当局は実態調査に着手―アルケゴス問題で
2021年03月31日 17時25分
EPA時事
【ニューヨーク時事】米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの株式関連取引をめぐる問題を受け、規制強化を求める声が強まっている。同社は創業者の個人資産を管理・運用する投資会社で、顧客の資金を運用するヘッジファンドなどへの規制の対象外。米メディアによると、米当局は影響や実態の調査に乗り出した。
野村ホールディングス<8604>とスイス金融大手クレディ・スイスが発表した巨額損失の恐れには、アルケゴスとの取引が影響したとみられる。他の欧米金融機関でも損失の懸念が一時強まった。ロイター通信によると、アルケゴスの資産は100億ドル(約1兆1000億円)程度だが、複数の金融機関からの借り入れを加え、運用規模は500億ドル程度に膨らんでいた。
リーマン・ショック後、米国はヘッジファンドなどへの規制を強化。米証券取引委員会(SEC)への登録や資産運用状況などの定期報告が義務付けられている。しかし、個人資産を運用する会社は登録や情報開示の必要がなく、取引実態が不透明なままだ。
非営利団体ベター・マーケッツのデニス・ケレハー代表は「市場は、運用規模や保有銘柄、借り入れの状況などを知らされていなかった。重要な点で依然として不透明なままだ」と厳しく批判する。米議会からも「透明性の確保と強力な監督が必要だ」(民主党のウォーレン上院議員)との声が上がっており、金融規制強化の機運が高まっている。(了)