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「国際金融センター」へ本腰=専門人材など、誘致に税優遇―金融庁要望

2020年09月18日 19時11分

 政府は、日本の金融資本市場の競争力を高め「国際金融センター」として確立させるため、税制上の優遇措置を検討する。世界の資本市場では、香港情勢など地政学リスクや新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、拠点の分散を模索する動きが続く。他国と比べ高い税率を見直すことで、こうした高度な専門性を持つ金融機関や人材の誘致を促す考え。金融庁は来年度の税制改正要望に盛り込む。

 政府は日本の資本市場を活性化するため、これまでも東京を国際金融センターとすることを目指してきた。しかし税金の高さなどが足かせとなり、国際的な拠点としての魅力は高まっていない。

 東京証券取引所に上場する外国企業は、ピークだった1991年の127社から4社にまで激減。今年の5月末までの売買代金は、ニューヨーク証券取引所の910兆円、上海証券取引所の440兆円に対し、東証は290兆円にとどまっている。

 このため税制要望では、上場企業と同様に未上場の外資系運用会社などにも、役員の成功報酬を会計上の損失として計上できる特例措置を検討。国外の保有資産を相続税の課税対象外にするため、「日本での居住期間10年以下」との条件の緩和を求める。所得税の軽減策も検討。高額所得者の多い外資系の運用担当者らを呼び込み、日本企業の運用力向上につなげたい考えだ。

 ただ、税制以外にも解決すべき課題は多い。一つは、英語による行政対応が不十分なこと。また、外資の高所得者が同行させたい家政婦らのビザ(査証)発行にも制限がある。何より、「ユニコーン」と呼ばれる時価総額10億ドル以上のベンチャー企業が育たず、魅力的な投資対象が減っていることが資本市場が活発化しない根底にある。金融庁は法務省などと連携し、誘致戦略を進める。(了)

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