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東京都、国際金融都市へ優位性強調=「関西誘致」けん制

2020年10月07日 19時18分

 東京都は7日、国際金融都市構想の実現に向けた新たな議論を始めた。中国の統制強化で香港の金融センターとしての地位低下が指摘される中、受け皿としての体制整備を急ぐ。東京の優位性を強調し、国や民間の一部にある大阪・神戸地区などへの誘致論をけん制する狙いもありそうだ。

 「国際金融をめぐる環境は激動を続けている。厳しい都市間競争を勝ち抜くため、これまでの積み重ねを強めたい」。都庁で7日開かれた「国際金融都市・東京」構想に関する有識者懇談会の準備会。小池百合子知事は英国の欧州連合(EU)離脱や香港情勢を挙げ、構想実現へ「今がラストチャンス」と訴えた。

 都は準備会で、東京は上海や香港、シンガポールとし烈に争っていると指摘。韓国がソウルと釜山に金融都市を分散する戦略を進めた結果、両都市の地位は低下したとして、金融機関や監査法人などが集まる東京に資源を集中投下するのが有効だと主張した。

 都が新たな議論を始めた背景には、国際金融都市としての東京の地位がなかなか上がらないことがある。都は2017年に同構想を策定し、官民連携で海外企業を呼び込む活動などを展開してきた。だが最新の国際金融センターのランキングによると、東京は世界4位にとどまる。危機感を強めた都は有識者懇談会の提言を踏まえ、来年秋に構想を改定する。

 また菅義偉首相は、東京以外への国際金融センター誘致もちらつかせている。菅氏と近いインターネット金融大手SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、関西への誘致を唱えた。国際金融都市イコール東京、とは必ずしも限らない。

 ただ、どの地域であっても実現には税制優遇や英語の活用など課題が山積。また金融インフラの要となる東京証券取引所では、システム障害で株式売買が終日停止する前代未聞の事態も起きた。国際金融都市構想の前途は多難だ。

 ◇国際金融都市

 国内外の資金や金融関連の人材・情報・技術が集まり、投資や資本取引が活発に行われる都市を指す。英シンクタンクなどがまとめる国際金融センター指数(9月時点)によると、東京はニューヨーク、ロンドン、上海に次ぐ4位。大阪は39位だった。国際金融センター構想を掲げる菅義偉政権は、海外の金融人材受け入れ促進のための税制改正などを検討している。(了)

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