リート指数、21年に2000回復か=三井住友DSAM・秋山氏
2020年12月07日 14時47分
三井住友DSアセットマネジメントの公募投信信託「Jリート・アジアミックス・オープン」を運用する秋山悦朗チーフファンドマネジャーは「東証リート指数」について「株式市場の潮目の変化とともに上昇に転じ、来年前半に節目の2000を回復するとみている。1700前後の現状は買い時だ」と話した。
東証リート指数は東京証券取引所に上場する全リート(不動産投資信託)の時価総額の加重平均で、2003年3月の基準日を1000とする。今年2月、2250の高値を付けた後、新型コロナウイルスの感染拡大や東京五輪の延期などで3月に13年以来約7年ぶりの安値となる1145まで下落。その後は戻したものの、おおむね1600~1800でもみ合い、バブル後の高値を更新した日経平均株価に比べて大きく出遅れている。
―リートはなぜ出遅れているのか。
リートは平均利回りが約4.2%と高い配当が魅力の商品だ。その配当が、コロナ禍で賃貸料の延滞や稼働率の低下により下方修正されるとの不安が台頭し、投資資金が入りにくい時期があった。
しかし、コロナの影響が大きい4~6月を含む決算が8月以降相次いで発表されると、主にホテル施設に投資する「ホテルリート」を除き、配当にそれほど響いていないことが確認できた。
―実際のコロナの影響は。
多くのリートは、家賃収入が減少する中、堅調な不動産市況を利用した物件入れ替えで利益を出したり、経費削減、自社株買いなどの自助努力をしたりして配当を維持した。厳しい時期に培った信用が評価される局面が必ず来る。
―今後の値動きをどうみる。
リートは株価に遅行し、軽いリスクオフによる株価の軟化局面に選好される傾向がある。今後、コロナワクチンの開発で株高が一段落したときに、リートに資金が流入するだろう。
しかし、日本のリートはオフィスビルへの投資割合が45%と高く、この部門はテレワークの普及によって、不透明感が出ている。指数が2000を超えて勢いがついても、すぐにはコロナ前の高値には届かないと思う。
―オフィス以外は。
配送センターなど主に物流施設に投資するリートは、コロナの影響で逆に好調だった。収束してもeコマース(電子商取引)への大きな流れは変わらない。また、データセンターに対する引き合いはさらに強まっており、この分野は今後クローズアップされるだろう。
◇ホテルリート、最も上昇余地に期待
―ホテルリートについて。
ホテルリートは大幅減配の状態だが、政府の「GoTo」キャンペーンで、株価に相当する「投資口価格」は回復傾向だ。2~3年後にはグローバルに観光事業全体が持ち直す可能性が高く、最も上昇余地に期待できる。
―海外のリートは。
Jリート・アジアミックス・オープンは資金の一部をアジアなど海外に投資している。物流施設やデータセンター、農業に特化したリートは年初来で30%超上昇するなど絶好調。特にネット通販大手アマゾンを最大テナントとする豪州の物流施設リート、グッドマングループは世界のトップパフォーマーだ。
―コロナ禍が長期化した場合のリスクをどうみている。
賃貸不動産を保有しているので投資口価格がゼロになることはまずない。過去、経営が行き詰まったリートがあったが、合併で救済されるケースが多かった。
ホテルなどには経営破綻リスクがあるが、コロナ禍が原因であれば、金融機関が簡単に見放すようなことは考えにくい。ただ、景気の低迷が長引き、金融機関の財務状態が悪化することがないか、注視している。(了)
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