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〔週間指標予測〕4月生産、新型コロナで3カ月連続減=5月都区部CPIは下落加速

2020年05月22日 15時31分

22日、大阪市中央区のJR大阪駅前
22日、大阪市中央区のJR大阪駅前

 来週は、29日に4月の鉱工業生産指数(経産省)や5月の東京都区部消費者物価指数(CPI、総務省)など主要統計の公表が集中する。民間調査機関などのエコノミスト予想(中央値、以下同)をまとめると、鉱工業生産は3カ月連続の減産となる見通し。全国版の先行指標となる都区部CPIは2カ月連続の前年割れで、下落幅が前月から拡大することが見込まれる。悪化はいずれも新型コロナウイルス感染拡大の影響による。

 鉱工業生産は前月比5.1%低下。経産省の製造工業生産予測指数よると4月は増産が見込まれたが、エコノミストの間では緊急事態宣言の影響を十分織り込まれていないとみる向きが多く、「下振れが懸念される状況」(三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉氏)だという。新型コロナ感染拡大に伴い世界的な需要が減退する自動車メーカーが工場の稼働を停止しており、輸送機械を中心に大幅なマイナスになるになることが予想される。生産と連動性の高い輸出が足元で急減、持ち直しを期待できる状況には程遠く、減産が続く可能性が高い。

 都区部CPIでは、指標となる生鮮食品を除いた総合(コア)指数は前年同月比0.2%下落と、2カ月連続のマイナスとなる見込み。多くのエコノミストは物価の下押し要因として、新型コロナ対策の外出自粛要請で需要が急減するサービス価格とエネルギー価格の下落を挙げた。「需要の弱さから物価には低下圧力がかかっている」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの丸山健太氏)ことから、当面下落が続く公算が大きい。

 来週はこのほか、4月の失業率・有効求人倍率(総務・厚労省、29日)や住宅着工件数(国交省、29日)、3月の全産業活動指数(経産省、26日)がそれぞれ公表される。

 完全失業率は2.7%、有効求人倍率は1.32倍と、いずれも前月から「明確に悪化する」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)見通し。新型コロナ感染拡大に伴う景気の冷え込みで、労働需要が後退したことが示されそうだ。

 住宅着工は前年同月比12.1%減少と、10カ月連続のマイナスが予想される。外出自粛要請で住宅メーカーの活動が制限されていることや、新型コロナ感染拡大による消費者マインドの悪化が影響するとみられる。

 全産業活動指数は前月比3.9%低下。新型コロナの影響で、指数への寄与度が高い第3次産業活動指数や鉱工業生産指数が大きく低下したことから、2カ月連続のマイナスとなることが予想される。(了)

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