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政府、地銀再編へ資金補助=預金保険の剰余金活用―経済対策に盛り込みへ

2020年11月12日 20時49分

閣議に臨む菅首相ら=10日、首相官邸
閣議に臨む菅首相ら=10日、首相官邸

 地方銀行などの合併や経営統合を促すため、政府が資金を補助する新たな枠組みを来年夏にも創設することが12日、分かった。預金保険機構の利益剰余金を活用し、再編に必要な初期コストの一部を支援する。来月にも取りまとめる経済対策に盛り込み、金融機能強化法改正案を次期通常国会に提出する方針だ。

 菅義偉首相は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた地方経済を支えるため、地銀の統合・再編を進める方針を打ち出している。政府は、経営統合に踏み切る地域金融機関への支援策を打ち出した日銀と一体で、地銀再編を促す体制を整える。

 勘定系などのシステムの仕様は金融機関ごとに異なるケースが大半。合併などでシステムを統一するには巨額の経費が必要で、規模の小さな金融機関が経営統合に二の足を踏む一因になっていた。

 関係者によると、政府は合併の際に掛かるシステム投資や店舗統廃合の費用などの3分の1程度を補助する。中小規模の地銀で100億円前後とみられる初期コストのうち、約20億~30億円を補助する。申請期限は2026年3月末までの約5年間。人口減少地域で、特に経営環境の厳しい地銀・第二地銀や信用金庫を対象とする。

 預金保険機構には、資本注入で取得した金融機関の株式配当などが利益剰余金として350億円程度積み上がっている。資金補助の財源として充当し、10件程度の再編に使える計算になる。

 金融庁は、コロナ後の地方経済を再生するため、融資先の企業を十分に支援できるよう銀行規制の緩和を検討中だ。併せて、統合費用の補助を通じて再編を促し、中小企業を支える地域金融機関の経営体力を抜本的に強化することを目指す。

 ◇資金補助制度のポイント
一、合併・経営統合する金融機関を支援
一、人口減少地域で経営環境の厳しい地方銀行や信金が対象
一、統合初期コストの3分の1程度を補助
一、1件当たり支援額は20億~30億円を想定
一、申請期限は2026年3月末
一、預金保険機構の利益剰余金を活用
(了)

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