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「非接触型」社会、DXが後押し=柔軟な働き方にシフト

2020年07月14日 18時03分

 新型コロナウイルスの感染拡大は、ITで社会・産業構造を「変革」するデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させると言われる。Q&Aでまとめた。

 ―DXとは何か。

 紙や対面、会議でのやりとりに頼ってきたビジネスプロセスや既存事業を最新のITを使って変革させる概念を指す。外食業界がITを大胆に採り入れてネット注文と宅配業務を強化したり、工場や農畜産業の生産現場にカメラとセンサーを取り付け、人工知能(AI)で省人化を図ったりする取り組みもDXだ。

 「密」を避けて未知の感染症からも身を守る「非接触型」社会では人々の行動が変容する。「移動」「場所」にかかっていた時間とコストを節約できる効果は大きい。

 ―暮らしへの影響は。

 DXの取り組みは、消費者に提供するサービスの変革に直結し、新需要を創出する。チャットやビデオ会議の普及にとどまらない。新型コロナ下で売り上げが伸びたネット通販は、高速・大容量の次世代通信規格「5G」と、あらゆるモノをネットでつなぐIoTで進化する。

 自宅でゴーグル型端末を着用し、遠方にいる親類や友人にアバター(分身)として登場してもらい、仮想現実(VR)のショッピングモールで一緒に服を試着し、顔認証で支払いを済ませるといった世界観が現実となりつつある。

 足が不自由な高齢者が、自宅にいながら孫とドライブを満喫するVRを体験できる。ITを使って24時間見守ってもらうような暮らしはコミュニケーションの在り方まで大きく変えそうだ。

 ―働き方も変わりそうだ。

 メーカーなど幅広い企業で在宅勤務が広がった。5月の緊急事態宣言解除後は、出社と在宅を組み合わせる企業が大半だが、通勤を省いて自由に使える時間を趣味や育児、自己啓発に充てられるようになったとの声は多い。

 職場に出勤せず、近場の共用オフィスや喫茶店を利用する姿も珍しくなくなった。IT企業の間では、テレワークを恒久化して通勤定期代を廃止し、在宅勤務手当に切り替える動きもある。遠方に移住してリモートで働く人たちを支援する自治体も現れ始めた。

 兼業・副業という働き方の選択もより身近になりつつある。単発で仕事を委託したい企業と、請け負いたい個人を結ぶ仲介サイトが活況だ。コロナの影響で休業を要請されたり、残業が減ったりした人たちが「隙間」時間をソフトウエア開発補助やデータ入力などの副業に充て、収入減を補うケースが増えている。(了)

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