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〔証券情報〕株価チャートに「10月1日問題」

2020年10月09日 14時23分

東証のシステム障害により全銘柄の売買が終日停止され、株価が記載されていない2日付朝刊の新聞紙面
東証のシステム障害により全銘柄の売買が終日停止され、株価が記載されていない2日付朝刊の新聞紙面

 東証に上場する全銘柄の売買が終日停止した1日のデータを株価チャートにどう反映させるか、市場関係者は悩んでいる。9月30日比変わらずとみなすか、1日を計算対象から外すかで移動平均線などの指標が軒並み変わってくるためだ。

 日経平均株価を算出する日本経済新聞社は1日、同日の日経平均について9月30日終値2万3185円12銭を「10月1日の4本値と認定する」と発表した。1日は始値、高値、安値、終値がいずれも9月30日終値と同じだったことになる。

 ただ、1日は証券会社などの株価ボードで、日経平均が9月30日終値比0円19銭安の2万3184円93銭と表示された。1日付の日本化薬<4272>除外とソフトバンク<9434>採用に伴う除数調整を踏まえ、分割や併合を考慮した基準値ベースで算出したもので、日経新聞はこれを「参考値」と位置付けている。

 機関投資家などバイサイド関係者は「1日を休場扱いにして、日経平均がなかったことにするわけにはいかない」(国内運用会社)と口をそろえる。保有資産の評価やリスク計算などに必要なためだ。

 一方、日本テクニカルアナリスト協会の古城鶴也理事長は「過去の株価を使った相場分析という観点では、全銘柄の取引がなかった1日の日経平均に9月末終値を充てることには違和感がある」と指摘。「9月30日の翌営業日を10月2日とみなして各種のテクニカル指標を算出する方がより適切だ」と話す。「過去の株価を活用して超短期売買を繰り返す高頻度売買(HFT)業者の一部は、1日分は9月末終値を使わず、計算対象から外す」(外資系証券)との声もある。

 ただ、情報ベンダーやインターネット証券の専用アプリでは、1日の日経平均は9月末終値と同値で配信されており、1日の日経平均は日経新聞が発表した「前日比変わらず」が市場コンセンサスになりつつある。この場合、直近14日の数値で算出するRSIや20日ベースの標準偏差が基になるボリンジャーバンドなど短期指標ほど不自然な値が出てしまうが、市場関係者からは「1日のデータが計算対象から外れていくのを待つしかない」(銀行系証券)と嘆く声が聞かれた。(了)

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