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確定拠出年金、職場の金融教育が奏功=「わからない」が大幅に減少-DC広研と浦田経営金融ラボがアンケート調査

2025年10月03日 07時00分

(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(クリックで表示)

 一般社団法人確定拠出年金・調査広報研究所(DC広研、瀧川茂一代表理事)と浦田経営金融ラボ合同会社(浦田春河代表)は、「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」をまとめた。調査は6月中旬に、全国の20代から60代の3万6496人に実施。このうち、DC加入者は5163人だった。

 調査の中で、DC制度や金融リテラシーに関する知識について尋ね、その結果を金融経済教育の受講者と未受講に分けて集計したところ、受講者では「知らない」「わからない」が大幅に少ないことが示された。

◆老後資金における存在感に課題

(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(クリックで表示)

 また、老後資金の財源として考えているものを五つ選んでもらったところ、1位は「公的年金」、2位は「働いて得る収入」で、「企業型DC」は7位、「iDeCo(個人型DC)」は9位にとどまった。調査書は「DCが『公的年金の補完』の役割を果たすためには、制度の簡素化と周知、規模の拡大が必要だ」と指摘している。

◆実感されにくい税優遇

 DCの税制優遇措置については、「実感している」が25%と少数だった。実感していない理由は「税の仕組みが分からない」「自分の納税額が分からない」などだった。調査書は「税優遇拡充では行動変容が起こらない可能性が高く、政府マッチングや税優遇を超える拠出の解禁などに、議論の余地があるのではないか」と指摘している。

(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(出所)「確定拠出年金(DC)3万6000人調査」(クリックで表示)

 浦田氏は、DC加入者の動向について「約3割の人がDCの運用について『うまくいっている』と回答した。ここ数年は相場の変動が激しい時期もあったが、長期的な視点で運用を心がけることで成果を得ている人が多いようだ」と評価した。

 DCの課題については「老後資金の財源としてDCを頼りにしていない人が多いという、残念な実態も明らかになった。限度額が小さいうえにルールが複雑であることが、その要因と考えられる」と指摘した。

 また「税優遇がある以上、公平性が求められ、限度額を大きくできないというジレンマに陥っている。他方で、税優遇がインセンティブとして本当に有効なのかを問うデータも見られた」と分析した。

 その上で「制度のさらなる普及には、特定の領域を聖域化することなく、活発な議論をしていくことが必要ではないか」と話している。

 

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