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日本の配当成長率、世界平均の2倍強=中長期的な観点で魅力的な投資先-米系大手のキャピタル・グループ

2025年10月02日 08時30分

(出所)「Capital Group ”Global Equity Study: Dividend Watch H1 2025 report」

(出所)「Capital Group ”Global Equity Study: Dividend Watch H1 2025 report」


 米系大手運用会社のキャピタル・グループは、世界の主要株式市場を分析したグローバル株式調査「Global Equity Study」をまとめ、第1弾として配当に焦点を当てた「配当ウォッチ(Dividend Watch)」を公表した。時価総額ベースで世界の株式市場の約85%を占める1600社についての配当の支払い実績を分析した。

 ヨーロッパ・アジア地域アセット・クラス・サービス・ヘッドのアレクサンドラ・ハガード氏は、調査の狙いについて「配当は、企業の『財務の健全性』や『経営の安定性』を示す重要な指標だ。継続的に増配している企業は、高い収益性、健全なキャッシュフロー、そして規律ある経営体制を備えていると考えられる。配当の動向を追うことで、投資家は企業の実力や景気変動への耐性をより深く理解することができる」と指摘している。

 調査によると、2025年度上半期の世界の配当総額は1兆1400億ドルで、過去最高額を記録した。特別配当や為替変動などの一時的な要因を除いた「コア配当」の成長率は、6.2%と堅調に推移している。

 一方、日本の配当総額は549億ドルで、こちらも過去最高だった。コア配当の成長率は13.8%で、世界平均の 2 倍以上のペースで伸びていることが分かった。リポートでは「日本企業が高水準の利益成長を背景に、株主還元を重視するコーポレートガバナンスの改善に積極的に取り組んでいる」と分析している。

(出所)「Capital Group ”Global Equity Study: Dividend Watch H1 2025 report」(出所)「Capital Group ”Global Equity Study: Dividend Watch H1 2025 report」(クリックで表示)

 インベストメント・ディレクターの雨宮弘明氏は「安定的な配当を継続する企業は、市場の変動局面においても投資家にとって信頼性の高い選択肢となる」と指摘。「今回の調査結果から、日本市場は企業の利益成長とコーポレートガバナンスの改善を背景に、株主還元の意識が非常に高まっていることが明らかになった」と分析した。

 その上で「企業の収益性改善やデジタル化関連投資などから、日本の経済成長や生産性向上が期待されることに加えて、総株主還元率の改善も株主価値の向上に寄与すると考えられる。中長期的な観点で、日本株式は魅力的な投資先として注目している」と話している。

 

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