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アセットマネジメントOne、一橋大で寄附講義を初開講=「ファイナンシャル・ウェルビーイングのための金融リテラシー」をテーマに

2025年09月26日 08時00分

アセットマネジメントOne、一橋大で寄附講義を初開講

 大手運用会社のアセットマネジメントOne(東京、杉原規之社長)は、一橋大学の2025年秋冬学期に寄附講義を初開講した。経済学部の授業科目で、テーマは「ファイナンシャル・ウェルビーイングのための金融リテラシー」とした。

 9~12月に全14回で実施する。全学部・全学年履修可能だが、受講者は2年生が中心。「学生が金融の重要性や可能性を理解し、現在の生活や将来のキャリアに役立つ実践的なスキルを習得すること」を目的としている。

 講義の前半は、基礎編としてファイナンシャル・ウェルビーイングを実現する上で必要不可欠な金融リテラシーについて学ぶ。後半は、応用編として資産運用会社の実務にも焦点を当て、社会全体における金融の役割、投資の意義、運用やマーケットの仕組みを解説する。

 9月19日は、第1回目としてオリエンテーションを実施し、一橋大学経済学部・大学院経済学研究科の山田俊皓教授と、アセットマネジメントOneで金融経済教育を推進する未来をはぐくむ研究所長の伊藤雅子執行役員が教壇に立った。

 山田教授は、講義の狙いについて「金融リテラシーは、将来のキャリアや生活設計を考える上でとても重要だ。そうしたことを考えることができる知識を身に付けてほしい」と述べた。

 伊藤所長は、運用会社について「投資家と企業をつなぐ『インベストメント・チェーン』を回し日本経済を活性化するドライバーとして、重要な役割を担っている」と紹介した。主な発言は以下の通り。

◆あえて基礎科目として設定-山田教授

(山田教授)(山田教授)

山田教授 この講義の到達目標は、生活に役立つ金融リテラシーを習得することと、ファイナンス理論について理解を深めることだ。

 一橋大学は伝統的にファイナンス分野が強く、多くの理論系の講義が開講されているが、本講義はこれらを学ぶための学部基礎科目としてあえて設定した。皆さんには、この講義で金融リテラシーを身に付けた上で、より専門的な知識を習得してもらいたいと考えている。本学として今までにない初めての試みになる。

 社会人になる前に、お金とは何か、金融とは何か-について、真剣に考えてほしい。金融リテラシーは、将来のキャリアや生活設計を考える上でとても重要だ。そうしたことを考えることができる知識も身に付けてほしい。

 この講義を通じて、資産運用に関心を持ってもらい、金融業界に就職したり、金融の大学院や資格試験に挑戦したりする人が出てきたら、うれしく思う。

◆運用会社は、投資信託のメーカー-伊藤所長

(伊藤所長)(伊藤所長)

伊藤所長 資産運用会社は、「投資信託」を作って運用している会社だ。投資信託は、銀行や証券会社で売られている。運用会社はお客さまと直接、接点がないので、知られていないかもしれないが、投資信託は大切なお金を運用する金融商品なので、そのメーカーである運用会社のことも知ってほしいと思う。

 当社は、「投資の力で未来をはぐくむ」をコーポレートメッセージに掲げている。個人投資家や機関投資家から合わせて約70兆円をお預かりしており、日本のトップクラスの運用会社だ。

◆インベストメント・チェーンを動かすドライバー-伊藤所長

 運用会社は、お預かりした資金を運用して投資家にリターンをお返しするため、例えば株式運用であれば、株主として投資先企業の経営者と対話を行い、企業価値の向上を働きかけている。その結果、企業価値が高まって株価が上昇し、社会課題が解決されれば、その恩恵は投資家に戻っていく。

 このような投資家と企業をつなぐ連鎖を「インベストメント・チェーン」と呼んでいる。この連鎖を動かしていくことが、日本経済を活性化する上で大変重要であり、政府は「資産所得倍増プラン」を掲げて、さまざまな施策を打ち出している。資産運用会社は、このチェーンを動かすドライバーとして、重要な役割を担っている。

◆正しい金融知識の発信をめざす-伊藤所長

 アセットマネジメントOneは2023年10月に「未来をはぐくむ研究所」を設立した。インベストメント・チェーンを回し、日本経済を活性化するには、家計が保有する個人金融資産をうまく活用していくことが重要になる。

 当研究所は、多くの皆さまに正しい金融知識やリテラシーを持っていただくことを目指して発足した。当社が運用する金融商品とは関係なく、中立、客観的な情報だけを届けている。

 金融知識や金融教育はとても大切だ。ただ、金融教育を受けただけでは十分でなく、それを実際の行動に移していくところまで進めないと、何も変わらない。そのため、できるだけポジティブな金融行動を促していきたいと考えている。

 さらに、お金は増やすだけでなく、お金を使って人生を楽しむところまでいかないと意味がない。また、お金には大きな可能性がある。投資には大きなインパクトがあり、社会課題を解決する一つ大きな要素になる。これからの講義のなかで、こうしたことも伝えていきたい。

◆情報を「見極める力」を身に付ける-伊藤所長

(出所)アセットマネジメントOne(出所)アセットマネジメントOne(クリックで表示)

 今回の講義では、「成人になってすぐに身に付けてほしい、良質な金融リテラシーを届ける」ことに強い思いを持って、新しいカリキュラムを作成した。

 前半は基本編として、パーソナルファイナンスという分野について学ぶ。ライフプランの基本、給与・社会保障・税金、ためる・備える・借りる・使う・殖やす-など、個人として知っておくべきことをまとめた。

 後半は応用編として、資産運用ビジネス、社会課題の解決をめざす投資、正しい金融取引の仕組みとそれを支える法律まで、フルラインアップで網羅している。当社社長のほか、株式と債券の最高運用責任者(CIO)も、登壇を予定している。

 金融リテラシーは、成人になってすぐに身に付けることが重要だ。詐欺なども多くなっている。たくさんの情報があふれるなかで、その内容を「見極める力」を身に付けてほしいと思う。

 また、金融リテラシーについて講義を聞くだけでなく、自分で行動を起こすところまで進めてほしい。最終的には、ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状況にあること)を実現する気持ちを持っていただきたい。

 

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