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〔記者ノート〕堂島への期待に、身の引き締まる思い=農水省・渡邉商品取引室長

2020年09月04日 09時32分

大阪堂島商品取引所=大阪市西区
大阪堂島商品取引所=大阪市西区

 ▽「『大阪を国際金融センターにしたい』との、北尾吉孝SBIホールディングス社長の構想には夢がある。そのコアとして、大阪堂島商品取引所に期待を寄せてくれるのは、所管する身としてありがたい」―。こう話すのは、農林水産省食品流通課の渡邉泰輔商品取引室長。2日、東京都内で開かれた時事通信社の金融懇話会に出席し、北尾氏の講演に耳を傾けた後、改めて身を引き締めた

 ▽北尾氏は「堂島商取を株式会社化し、資本を入れる」と述べるとともに、「堂島はコメ先物の発祥の地。国際金融センターの中にその地があることが、象徴的な意味合いを含めて意味がある」と語った。コメのみならず、さまざまな農産物、関連の深い天候デリバティブなど、アジア圏を主体としたグローバルなコモディティーの値段をそこから発信する。そんな青写真を描く北尾氏に「そういう経営的な戦略を立てられるSBIは構想力が豊か」と舌を巻く。

 ▽ただし、現状の堂島商取を取り巻く環境は厳しいの一言に尽きる。主力のコメは来年8月に通算10年間におよぶ試験上場期間が満了し、後がない。トウモロコシや大豆、小豆、粗糖の大半は取組高がゼロの状態だ。こうした中、「堂島商取がずっと農産物専用の市場でやっていくのが正しいのかというのは、経営的な視点からはあるとは思う」と、事態を冷静に見つめる。

 ▽10月で就任2年目に入る。「一年間やってきて、堂島に追い風となりそうな状況が見えてきた。これまで以上に、元気を出して励みたい」と意気込みを語る。来年8月は、コメ本上場の可否を判断する重要な役目を担う。「堂島や商先業界がコメ先物をどう育てていきたいかに懸かっている。真剣に彼らの頑張りを見て、応援できるところは応援していきたい」とエールを送る。

〔記者ノート〕について
商品先物市場担当記者による深掘り記事です。監督官庁や取引所、取引参加企業幹部への取材に基づき、業界の重要テーマや新たな取り組みなどを詳しく解説します。

 

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