〔週間外為見通し〕ドル円、下値試しか=米追加経済対策に注目
2020年08月07日 14時07分
来週の外国為替市場のドルの対円相場は、米国の実質金利の低下を背景としたドル安傾向が続き、1ドル=105円程度の下値を試す展開とみられる。注目材料は「米国の追加経済対策をめぐる議論」(銀行系証券)という。
今週のドル円相場は、持ち高調整の買い戻しがあったほか、全米サプライ協会(ISM)発表の製造業景況指数の改善を好感したドル買いが入り、週初に106円台半ばに上昇した。その後は値幅を狭くしつつ、さえない米経済指標を受けてじり安となった。
来週は、米議会で引き続き、新型コロナウイルス対応の追加経済対策が協議される。共和、民主両党が合意すれば「米株価が上がり、ドル高・円安となる」(同)とみられるものの、11月の大統領選を視野に簡単に歩み寄ることはないとの見方が市場で広がっている。焦点となっている失業給付が決まらず、個人消費に影響してきた場合、ドル円の圧迫要因となりそうだ。
また、夏場の季節要因として、国内輸出企業がドルを売って円を買う動きが進むことや、米国債が償還時期を迎え、国内機関投資家がドルを円転することも下押し材料となる。ただ、「節目の105円を割れないと逆に上値を試しに向かう」(同)といい、106円台半ば程度に反発する可能性もある。
経済指標は「このところ、ドル円が連動しやすくなっている」(信託銀行)といい、特に景気回復の足取りが懸念される米国とV字回復を果たしつつある中国の指標が注目されている。米国では12日に7月の消費者物価指数、14日に7月の小売売上高と鉱工業生産、8月のミシガン大学消費者信頼感指数。中国は14日に7月の鉱工業生産と小売売上高が公表予定。指標以外では、週末15日に米中両国閣僚による貿易協議がある。(了)