〔為替感応度〕25年3月期想定レート、円安方向に修正=145~150円が中心
2024年11月14日 12時00分
電機大手、半導体製造装置、電子部品などハイテク企業の2024年9月中間決算が出そろい、25年3月期の想定為替レートの修正値が明らかになった。時事通信社が主要企業38社を対象に調べたところ、対ドルでおおむね145~150円に設定され、期初段階の140~145円から5円程度円安方向に修正された。2割強の企業が営業減益を予想しているものの、足元の円安水準での推移が続いた場合、収益を押し上げる要因になりそうだ。
具体的には、対ドルで25年3月期の想定レートを開示している34社中、最も多かったのが、NEC〈6701〉やニデック〈6594〉、村田製〈6981〉など6社の1ドル=145円だった。最も円高水準に設定したのは、新光電工〈6967〉(年度下期の想定レート)とディスコ〈6146〉(10~12月期の想定レート)の135円。最も円安のオリンパス〈7733〉は151円だった。
また、期初段階から想定レートを変更しなかったのは、ニデックや村田製など13社。市場関係者は「日米の選挙に伴う政治リスクや金融政策の違いなどから為替相場が不安定な値動きだったため、今後の為替動向を見極めたいと考えたのではないか」(国内証券)と分析している。
為替変動による年間業績への影響度を示す感応度を見ると、対ドルで1円の円安による年間営業利益の押し上げ効果は村田製で45億円(想定レート145円)、日東電工〈6988〉で26億円(同146円80銭)、ソニーG〈6758〉で20億円(同146円前後)、ダイキン〈6367〉で19億円(同146円)などとなっている。
一方、東エレク〈8035〉とKOKUSAI〈6525〉、東京精〈7729〉は取引の大半が円建てのため、為替の影響は受けないという。ただ、これらハイテク企業は、生成人工知能(AI)関連製品の伸びは続いているものの、「民生用や電気自動車向け製品などの低迷が続いており、為替メリットがあっても好業績が続くかどうかは疑問」(国内資産運用会社)と話していた。(了)