ウォール・ストリート・ジャーナル
コモディティコンテンツ

マーケットニュース

〔深読み米国株〕エヌビディア好決算も市場全体への影響力低下

2024年05月23日 20時43分

時事時事

 半導体大手エヌビディア(NVDA)が5月22日開示した2024年2~4月期業績は市場予想の高いハードルをあっさりクリアする好内容だった。1対10の株式分割も併せて発表されたことで、時間外取引で株価は急伸した。しかし、米国株先物や米IT銘柄に連動しやすい日本、台湾などの株式市場は反応が乏しく、市場関係者は「エヌビディアの業績や株価に世界の株式市場が一喜一憂する局面は終わった」(外資系運用会社)と受け止めている。

 エヌビディアの2~4月期決算は生成AI(人工知能)の爆発的な普及を追い風に売上高が260億ドル(市場予想246億ドル)、1株利益が6.12ドル(同5.60ドル)と上振れした。5~7月も売上高280億ドルと大幅増収が続く見通しを示したことが好感され、時間外取引で株価は決算発表直前から7%高と急伸し、上場来高値となる1000ドルの大台に乗せた。

 気がかりなのは他市場の反応だ。23日はエヌビディアの好決算を先進国主要市場で最初に織り込んだ東京市場で日経平均株価が500円近く上昇したが、22日までの2日連続安の下げを埋め、3日かけて「いってこい」に終わった形だ。IT銘柄の構成比が大きい台湾・加権指数は0.26%高、韓国総合指数0.06%安といずれも動意に乏しく、時間外のナスダック100先物やS&P500先物も1%以内の値上がりにとどまり、周辺銘柄の連れ高効果は限定的だった。

 米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は22日午前、「エヌビディア好決算、株価急騰」と題する記事を配信。エヌビディア決算を詳報し、現地証券会社による目標株価引き上げなどを紹介する一方で、「2~4月期はエヌビディアにとって、考えられないほど素晴らしい最後の決算期になるかもしれない」と、成長ペースが鈍化する可能性を指摘した。

 今後、エヌビディア株の成長スピード鈍化が確認されれば、期待の大きい銘柄の常で上値追いから一変して値幅調整を迎えるリスクが高そうだ。ただ、世界の株式市場で「エヌビディア離れ」が始まっているとすれば、仮にエヌビディア株が調整局面を迎えても連鎖安には進展せず、上昇基調を継続できるのではないか。(編集委員・伊藤幸二)

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
オペレーションF[フォース]