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暗号資産業者DAMS、デジタル証券の原簿管理システムを開発=高度な暗号技術採用

2024年05月17日 12時05分

西本一也社長(デジタルアセットマーケッツ提供)西本一也社長(デジタルアセットマーケッツ提供)

 暗号資産(仮想通貨)交換業者のデジタルアセットマーケッツ(DAMS、東京、西本一也社長)は、デジタル証券の原簿を安全に管理するための基礎技術を開発した。解読が困難な最新の「耐量子計算機暗号(PQC)」を活用し、保管するデジタル証券のデータや個人情報の安全性を高めた点が特長。同社へ出資しているインタートレード<3747>と共同で特許を取得した。今後はこの技術を生かした金融・証券領域の新規事業を創出する。

 国内では2020年5月、デジタル証券について規定した改正金融商品取引法が施行され、不動産分野を中心にデジタル証券の発行が急速に広がっている。証券をデジタル化すると、従来は難しかった証券や社債発行の小口化が可能になり、投資家の利便性が向上する長所がある半面、サイバー攻撃にさらされる危険性も高まる。

 特に、高い計算能力を持つ量子コンピューターが普及すると、多くの分野でサイバー攻撃の防御に使われている「RSA暗号」や「楕円曲線暗号」は、比較的短時間に解読される恐れがある。このため、専門家らはより安全性の高いPQCへの移行を訴えるとともに、暗号技術の標準化を目指している。

米グーグルが開発を進めている量子コンピューター=2022年9月21日、米カリフォルニア州サンタバーバラ米グーグルが開発を進めている量子コンピューター=2022年9月21日、米カリフォルニア州サンタバーバラ

 DAMSはこのほど「多変量多項式型」と呼ばれるタイプのPQCを用いた原簿管理システムを開発。悪意の第三者によるデータの盗み見や改ざんを困難にした。西本社長は「次世代型の金融・証券取引に求められる、即時グロス決済(RTGS)を見据え、しっかりシステム開発に取り組みたい」としている。

 デジタルアセットマーケッツにはインタートレードのほか、三井物産<8031>や日本取引所グループ<8697>、マネックスグループ<8698>、日産証券、兵庫県を地盤とする光証券などが出資している。 (了)<8705>

 

 

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