為替介入、5兆円規模か=29日実施の可能性
2024年05月01日 09時31分
時事
政府・日銀が29日の外国為替市場で、円買い・ドル売りの為替介入を実施していた可能性が高いことが30日、分かった。日銀当座預金の増減要因予想に基づく市場関係者の推計によると、介入は5兆円規模。日本が祝日だった29日の海外市場では円相場が一時、1ドル=160円台まで急落。その後、一転して数時間で154円台まで円が買い戻される場面があり、市場では複数回にわたって介入が実施されたとの見方が広がっていた。
政府は29日の介入の有無について明らかにしていない。政府・日銀による1日当たりの円買い介入額は、152円に迫る円安が進んだ2022年10月21日の5兆6202億円が最大。
日銀の当座預金残高の増減は、民間金融機関が日銀に預け入れている資金の動きを示す。日銀が30日夜に公表した5月1日の当座預金の増減要因予想によると、4月29日に介入が行われていた場合の資金の動きなどが反映される「財政等要因」は7兆5600億円のマイナスとなった。円買い介入が実施されると、政府が金融機関から円資金を吸い上げることから、当座預金のマイナス幅が拡大する。市場の事前予想では、2兆円程度の減少が見込まれていたため、日銀が公表した減少幅は予想より5兆5000億円ほど多い。
外為市場では、日銀が4月26日の金融政策決定会合で政策金利の現状維持を決めた後に円安が加速した。植田和男総裁が同日の会合後の記者会見で最近の円安に強い懸念を示さなかったとの見方から円売り圧力が一段と拡大。29日には一時160円台と約34年ぶりの円安水準まで下落し、日銀会合の結果発表前の水準から5円近く急落していた。(了)