〔為替感応度・自動車関連〕24年3月期の想定為替レート、10円以上円安に修正
2023年11月14日 11時45分
自動車関連企業の2023年9月中間決算が出そろい、24年3月期通期の修正想定為替レートが明らかになった。完成車メーカー9社、自動車部品メーカー12社について、時事通信社が調べたところ、総じて対ドルで140円、対ユーロで150~152円の水準となり、期初段階(対ドルで125~130円、対ユーロで135~140円)からそれぞれ10円以上、円安方向に修正された。好調な米景気や日本と欧米との間での金利差拡大を背景に、対ドル、対ユーロで円安が進んでいることを踏まえて修正したという。
具体的な想定レートは、対ドルでトヨタ〈7203〉、スズキ〈7269〉、アイシン〈7259〉が141円、日産自〈7201〉、ホンダ〈7267〉、豊田織〈6201〉が140円などとしている。
トヨタが1日に発表した決算説明資料によると、2024年3月期の営業利益予想は4兆5000億円を見込み、従来予想の3兆円から大幅に上方修正した。前期比では65%増の見通し。想定為替レートは、期初段階比で対ドルで16円、対ユーロで17円、円安方向に修正した。これらを含む為替見通しの変更で、営業利益は1兆1800億円押し上げられた。市場では「円安メリットが改めて意識される」(国内証券)との指摘が聞かれた。
想定為替レートに対する「感応度」を見ると、トヨタは対ドルで1円の円安が500億円、対ユーロでは100億円の営業利益押し上げ効果を持つといい、期初段階の対ドルの450億円、対ユーロの60億円から修正した。
他の企業の1円当たりの為替感応度は、日産自が対ドルで120億円(対ユーロは非開示)、ホンダは対ドルで100億円、対ユーロは15億円、デンソー〈6902〉は対ドルで24億円、対ユーロで9億円などとなっている。
為替相場は足元で、対ドル151円台、対ユーロで162円前後と想定レートよりも円安水準にある。為替相場が現在の水準を維持すれば、さらなる業績押し上げに寄与するとみられる。(了)